「ドナーを動物のように飼育」 中国、著名法学者が臓器ビジネスを非難 

「ドナーを動物のように飼育」 中国、著名法学者が臓器ビジネスを非難 

中国政法大学の羅翔教授(スクリーンショット)

中国版ツイッター、微博(ウェイボー)で250万人のフォロワーを持つ中国政法大学の羅翔教授のアカウントでは6月26日、すべての投稿が削除されたことがわかった。その後、同氏が過去に行った講義の映像はネット上で転載された。この講義で、教授は、中国国内で横行する不正な臓器狩りビジネスを批判した。

記事や映像の削除は中国ネット検閲当局によるものか、あるいは当局の圧力で羅氏自身が行ったのかは不明だ。

法学者の羅翔氏は、中国政法大学の刑法学教授を務めており、北京市華一弁護士事務所の弁護士でもある。2020年、同氏の刑法学に関する講義動画番組「羅翔が刑法を講じる」は、日常生活から事例を取り上げ、法律知識をユーモアたっぷりに解説したため、ネット上で爆発的な人気を得た。

同年3月9日、同氏は中国国内の動画共有サイト「bilibili(ビリビリ)」で、動画配信を始め、瞬く間に数百万人のフォロワーを獲得した。同年10月25日、「bilibili」では同氏のフォロワーが1000万人を突破し、国内有数のインフルエンサーの1人となった。

羅氏は過去の動画投稿で、中国当局が「騒乱挑発罪(中国語は尋衅滋事罪)」に違反したとして、当局を批判した市民を拘束したことに言及した。同氏は、当局の騒乱挑発罪に関する定義が曖昧であるため、法執行機関が「騒乱挑発」を思うままに解釈し、国民のすべての行為が「騒乱挑発」と決め付けられると指摘した。

また、同氏は中国司法制度の闇、中国当局による弁護士への不公平な扱いなどを非難したことがある。2020年9月8日、同氏はウェイボーで、「徳行を大切にして、栄誉の奴隷にならないでください」と書き込んだ。

ネットユーザーは、この投稿は、中国当局が同日開催した新型コロナウイルス感染対策表彰大会で、感染症学者の鍾南山氏が最高権威の「共和国勲章」を授与されたことを暗に批判したのではないかと推測した。羅氏のこの書き込みは愛国主義者らにバッシングされ、大炎上となった。

いっぽう、26日、羅氏が過去に中国の臓器狩りビジネスを糾弾した映像がSNS上で相次いで転載された。

同氏は「(臓器売買業者は)人々を田舎に連れて行き、身体が丸々と太るまで食事を与えてから、定期的に採血を行う。彼らの血を採って売るだけでなく、彼らの臓器を摘出していた。人をまるで動物のように飼育していた」と動画の中で話した。

「この行為は犯罪行為であろう。正しく故意傷害罪である。人の腎臓を2つ摘出したら、これはまさに故意殺人罪だ」

羅氏は、中国で臓器狩りビジネスが行われている原因について、「社会進化論」と結論づけ、「このような社会進化論に対して、私たちは本能から抵抗すべきだ。なぜなら、私たちは人間であり、動物ではないからだ」と述べた。

中国メディアは、社会の下層階級の人々が臓器狩りビジネスの被害者になった事例を報道したことがある。中国誌「財経」は2009年、広州市中山大学付属第三病院肝移植科の張俊峰・副主任と他の医師2人が、貴州省からホームレスの男性1人を病院に連れて行き、男性の体から移植可能な臓器すべてを摘出してから、遺体を貯水池に捨てたという事件を報道した。

中国当局はこの事件に関して報道規制を敷き、「財経」誌に対して3カ月の出版停止を命じた。

中国当局は1999年、伝統気功グループ、法輪功学習者に対して弾圧政策をはじめた。2000年以降、各地の強制収容施設に拘禁された多くの法輪功学習者は、中国当局が主導する臓器移植ビジネスの主要な「ドナー」となり、当局に膨大な利益をもたらした。

2016年2月、米国に移民した紅二代(中国共産党長老らの子弟)は、米中国語メディア「阿波羅網」に対して、江沢民が法輪功学習者に対して強制臓器収奪を始めて以降、莫大な利益を生む臓器狩りビジネスが中国全土で展開されたと語った。「強制臓器摘出の対象者は、ホームレスを含めて、社会の各階層に広まった。法輪功学習者だけではない。また、偽の求人広告を出して、多くの若者を集め、その若者たちから臓器を摘出していた」という。

2020年、英国の独立民衆法廷は「中国共産党が長年にわたり、中国各地で大規模に行ってきた『強制的な臓器摘出』の残虐行為を停止したという『証拠はない』」と結論づけた。民衆法廷の調査は、法輪功学習者が臓器の主な供給源であり、ウイグル人やチベット人、キリスト教徒も被害者であると示した。

(翻訳編集・張哲)
(転載:https://www.epochtimes.jp/p/2021/07/75354.html)

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