第1回 岐路に立つ移植医療:倫理に基づく医療か、大量虐殺に至る残虐行為の武器か

医療従事者の目的は、必要な人々に治療とケアを提供することです。医療に携わる専門家は、「害をなすな」として要約される医者としての誓いを守ることが当然とされていいます。患者との関わりの中で医師としてできることの枠組みを定めた誓いです。

どの国でも、医学会や政府による倫理的監視が行われない場合、世界中の国際的な医療倫理が侵害され脅かされることになります。生きている良心の囚人から組織的に臓器を収奪すること ― 国家が認めた臓器のための殺害 ― は、歴史上類を見ない医療倫理に対する侵害です。このような臓器移植を容認し、あるいはそれに関与することは、医療従事者が医者としての誓いと指導された理念を裏切ることにほかなりません。世界中のすべての医師は、倫理を取るか残虐行為に走るかの岐路において、個人的な選択を迫られています。

2021年9月17日
基調演説者:
トルステン・トレイ, MD, PhD

米国:DAFOH常任理事
生体臓器収奪の研究者、著者、専門家。ワシントンを拠点とNGO臓器の強制摘出に反対する医師団(DAFOH)の創設者(2006年)、常任理事。同NGOは2016年と2017年にノーベル平和賞候補、2019年にマザー・テレサ記念賞(社会正義部門)候補。

【日本語訳】

講演者の皆様、ご来賓の皆様、「生体臓器収奪の阻止と撲滅に関する世界サミット」にご参加いただき、ありがとうございます。

15年前、「エポックタイムズ」紙で、中国で良心の囚人から臓器が摘出されているという衝撃的なニュースが報じられたとき、organ harvesting(生体臓器収奪/臓器狩り/生体臓器収奪)という言葉すら存在していませんでした。そのこと自体がすでに、この恐ろしい行為が人間としての私たちの想像や思考を超えたものであることを示唆しています。この行為を認識するためには、私たちは考えられないことを考えるべく心を開く必要があるということでもあります。

過去15年間、独立した調査研究にあたった者たちは、常識にとらわれない独創的思考を駆使して、中国での生体臓器収奪に関する信頼できる大量の証拠を収集・累積しました。信じられないほど多数の臓器移植件数、想像を絶するほど短い移植手術までの待機時間(追加料金を払えば最短2日まで短縮可能)、他国では聞いたこともない優れた効率で運営されているとする公的臓器提供プログラム、電話のおとり捜査で得られた自白証言、そして何よりも疑う余地のない多数の目撃証言等の証拠です。

ジェフリー・ナイス卿が議長を務めた「中国(臓器収奪)民衆法廷」において、中国では今なお臓器収奪が行われているという結論が出されたのも当然のことです。

この臓器濫用の主な犠牲者は法輪功学習者です。数十万人あるいはそれ以上の法輪功学習者が臓器摘出のために殺害されたと推定されています。

しかし中国はこの問題を内政問題だとして、独立した抜き打ち調査を拒否しています。中国にどう対応したらよいのでしょうか?歴史は改めて重要な教訓を与えてくれます。ユダヤ人に言及せずにホロコーストについて話すことが不可能であるのと同様に、法輪功に言及せずに中国での臓器収奪について話すことは不可能です。

中国政府は、内政問題であると主張し、この話題をタブー視するなどして世間の注目をそらそうとしていますが、ホロコーストがナチス政権の内政問題ではなかったように、生きている法輪功学習者からの臓器収奪も中国政府の内政問題ではありません。いずれのケースも国際問題です。

これは、「人道に対する罪」という性質だけでなく、特に、国際的な移植ツーリズム、臓器移植に関する学術交流、中国人学生の養成、臓器移植関連の医薬品の取引や技術供与との結びつきという点からも、国際社会はこの移植濫用に対処する義務と責任があります。

今回の「生体臓器収奪の阻止と撲滅に関する世界サミット」が、人々のさらなる意識と行動を喚起するきっかけとなることを願っています。政治家や国会議員の方からこの問題への対応や立法措置についてお話していただきます。また、報道機関の役割と検閲の問題も検証します。

報道機関の第一の任務は事実と真実を報道することですが、もう1つの重要な役割は人と人をつなぐことです。過去15年間、主流メディアは自由世界の人々と中国での生体臓器収奪の犠牲者をつなぐことができませんでした。読者と犠牲者の間の隔たりは、検閲の面において見過ごされがちな問題です。この世界サミットは、客観的な知見や洞察を共有することにより、中国での生体臓器収奪の犠牲者が国際社会から隔離されている問題の克服を目指します。

臓器収奪という行為は、2つの主要な問題を明らかにしています。1つは法的な問題、もう1つは倫理的な問題です。法律の専門家は、生体臓器収奪がどの程度までの犯罪であり、「人道に対する罪」であるかを論じます。医療専門家は、医療倫理の観点から生体臓器収奪の問題に取り組みます。

医療専門家が理解しなければならない問題の1つは、1999年以来法輪功に対する殲滅キャンペーンを推し進めてきた中国政府が、無実の法輪功学習者の処刑を法廷から病院に委ね、臓器移植の名の下で中国の臓器移植専門医を処刑人としたことです。しかし、他人の治療のために、生きている人間を殺すことは、医療を不条理な行為に変えるものであり、医師の誓いに反するものです。

国や地域によって倫理の概念が異なると、倫理についての対話がより難しくなるかもしれません。では、どのようにして倫理の共通の土俵を見出すことができるのでしょうか?倫理の意味をより抽象的ではなく、より具体的に捉える方法として、全ての人間に共通する側面を思い起こしてみましょう。生まれた時点で自分の肉体を創造した人間は一人もいないという事実です。私たちはテーブルを作ったり本を書いたりして所有権を主張することができても、私たちの肉体に関してはこの論法は成り立ちません。所有権を考える代わりに、むしろ創造主が私たちに与えてくれた身体の管理人であると考えるべきかもしれません。そのように理解すると、自分や相手の身体を尊重する意識に繋がります。創造主から与えられた人体を尊敬する念は、医療における倫理観の適切な基盤となることでしょう。

この意味で、生体臓器収奪を阻止・撲滅するためには、まず生体臓器収奪の犠牲者に敬意を表し、追悼することです。現在ではウイグル人等の他の被害者グループも存在しますが、ここでは、主な犠牲者グループに焦点を当てることにします。

20年にわたる迫害・殲滅キャンペーンの対象にされてきた法輪功が、中国政府が世界に聞かせたくないメッセージを持っていることは明白です。そのメッセージを見てみましょう。

法輪功は「真・善・忍」という普遍的な理念に従う仏家気功の精神的修養法です。犠牲者の修養法について話すことには二つの目的があります。声なき声に声を与えること、そして生体臓器収奪を撲滅するために最も強力で最も平和的な手段を見出すことです。

公の場で法輪功を客観的に話すことによって、生体臓器収奪で法輪功を殲滅させ、法輪功を国際社会が理解する機会を奪おうとする中国政府の動機を突き崩し、医療専門家をステルス兵器にしてしまった状況から解き放されると考えます。世界が法輪功のことを早く知れば知るほど、法輪功学習者に対する生体臓器収奪は早く終わることでしょう。

私からは以上です。それでは、世界サミットと素晴らしい講演者にご注目下さい。生体臓器収奪

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1. Shi-wei Huang, MD, PhD
黄士維 MD、PhD

台湾:国立台湾大学医学院雲林分院泌尿器部主任

台湾国際臓器移植ケア協会(TAICOT)副会長。国立台湾大学医学院雲林分院泌尿器部主任。国立台湾大学医学院非常勤助教授。2006年、黄博士は、中国における臓器移植の濫用を懸念する同じ志を持つ台湾の医師たちとTAICOTを設立。多くの台湾人患者、ブローカー、移植外科医にインタビューした。中国共産党による法輪功学習者や良心の囚人からの生体臓器収奪と、中国共産党政権下の中国人医師による移植倫理の侵害について、長年懸念してきた。15年以上にわたり、アジアをはじめとする世界の違法な臓器摘出と移植濫用を防止するために尽力している。

【日本語訳】

世界各地からウェビナーに参加されている皆様、こんにちは!

私は泌尿器科医です。台湾の外科医の視点から中国の臓器移植についてお話したいと思います。

私は2001年の時点で多くの台湾人が臓器移植のために中国に殺到していることに気づき、 2006年からこの問題を調査しています。文化と人種が中国と共通であるため、台湾人は 1990年代に腎臓移植を受けるために中国への渡航を開始しましたが、その数は2000年以 降急増しました。2000年以前は、台湾人が肝臓移植のために中国へ渡航するのは稀でしたが、2000年以降急増加したのです。過去20年間で、4,000人以上の台湾人が肝臓または 腎臓の移植のために中国へ渡航しました。台湾に加えて、韓国、日本、東南アジア、中東、さらには西側諸国の人々も、2000年以降、移植手術を受けるために中国に群れをなして行きました。

私たちのチームは、臓器移植のために中国へ渡航した患者100人以上、さらには仲介業者 や移植外科医と話をしました。中国の臓器移植は、2000年、2007年、2015年を境とし て、4つの段階に分けることができると考えています。時間の経過とともに変化したもの もあれば、変わらないものもあります。中国は、臓器の調達源について常時、言い変えて いますが、中国の臓器移植が不透明なシステムであり、実に潤沢な産業であることは変わりません。

2000年から2006年まで、中国には数多くの臓器バンクがありました。それらは人民解放 軍(PLA)によって管理・運営されており、各臓器バンクには常にそれぞれ数千人を超えるドナーのデータが登録されていたと推定されています。中国の医師たちには、これらの 臓器バンクに登録されているのは死刑囚であると知らされていました。当時、台湾の医学 界が中国の臓器移植をめぐって最も問題視したのは臓器の出所ではなく、中国の外科医が 臓器をどのように強制摘出したかということでした。私たちはその方法が非常に残酷であ ることを知っていました。彼らは囚人に銃で傷を負わせるか、囚人に少しだけ麻酔をか け、それから臓器を強制摘出しました。囚人を生存させることで、血液が臓器に流入し続 けるようにしたのです。 2006年まで、私たちは臓器バンクが主に法輪功学習者で構成さ れていることを知りませんでした。 2007年以降、中国の臓器移植は価格がどんどん高騰 し、臓器移植のプロセス全体がますます隠蔽され、情報はますます透明性を失うようにな り、最終的には臓器の出所は触れてはならない公然たる機密となりました。

2015年以降、中国共産党(CCP)は、臓器移植システムを改革したと主張しました。臓器移植を実施できるのは認定病院だけであり、臓器配給システムに入ってくる全ての臓器 は公平に割り当てられるというのです。しかし、そのシステムは世界保健機関(WHO)の基準に本当に適合するものでしょうか?「ヒトの細胞、組織、臓器の移植に関する WHOの基本原則」の中で最も基本的な原則は、透明性と追跡可能性です。透明性とは何でしょうか?最も肝心な点は、システムのデータが一般に公開されているということです。誰でも情報が真実であるかを確認できるわけです。米国の「臓器共有統合ネットワー ク(UNOS)」の例を見てみましょう。 UNOSは、連邦、州、病院の各レベルにおける臓器移植のレシピエントおよびドナーに関する情報のうち、“個人を特定することのない情報”(non-PII)全てを公開しています。しかし、中国のシステム(中国臓器提供管理センター)には全国の数値しか記載されておらず、病院ごとの統計は公開されていません。システム上の情報は一般に公開されていません。現在でも、一般公開された公式出版物『中国の臓器移植の発展に関する報告書(2015-2018)』は、他の国の出版物と比べ、極めて限られた情報しか提供していません。

中国共産党(中共)政権は、なぜ、他の国々のように一般に向けて情報を公開してこなかったのでしょうか?病院のスタッフであれば、データが偽造されていることにすぐに気がつくでしょう。具体例を以下に挙げます。

最初の例は、『肝臓インターナショナル』に掲載された鄭樹森の研究論文の撤回です(鄭 樹森は共著論文の筆頭者)。 鄭は浙江大学医学部第一付属病院に在職する中国の著名な 肝移植外科医です。鄭は論文の中で、2010年から2014年の間、彼の病院では心臓死 (DCD)後に倫理規定に即して提供された肝臓を用いて563件の移植手術が行われたと主張しています。鄭はこの主張を裏づける証拠を提供できず、最終的に論文は撤回されまし た。その後、中国の元副保健相の黄潔夫は「中国システムのデータによれば、鄭の病院は 116回の肝移植しか行っておらず、論文は偽造されたことが判明した」と述べました。す ると鄭は態度を翻して「論文は彼の知らないうちに作成された」と語りました。563は 116の4倍以上です。どちらの数字が正しいのでしょうか?

2番目の例は、2019年に安徽省の懐遠人民病院で起きた事件です。「臓器提供の名目で臓 器を盗む」という見出しでニュースになりました。ICUの主任と認定移植センターの医療 従事者が共謀した事件でした。彼らは遺族を騙して犠牲者の臓器を提供させ、その見返り に20万元を支払いました。その後、遺族間で生じた問題を解決できなかったため、犠牲者の一番下の息子がこの事件を報告しました。この事件には、江蘇省病院、南京ドラムタワー病院、天津第一中央病院、北京の人民解放軍第302病院の4つの移植センターが関与していました。臓器の調達も移植手術も行われたのですが、4病院のいずれにも記録は残されていませんでした。結局、安徽省懐遠人民病院の医師だけが罰せられました。 4つの移植センターからは誰も処罰されませんでした。中国の移植センターではどれほどの移植手術が秘密裏に行われているのでしょうか?

3番目の例として、移植ツーリズムで中国へ渡航する台湾人の患者を見てみましょう。 2015年7月から、移植のために海外渡航する台湾の患者は帰国後に一定の情報を提供する よう台湾当局から求められています。 2015年7月から2019年7月の間に合計360人の患者が登録を済ませましたが(まだ数十人の未登録者もあります)、そのうち95%は中国へ渡 航しました。 5人の患者が非認定病院で移植を受けたこと、 4人の患者の移植外科医は移植病院に所属していなかったこと、別の7人の患者は移植のためにカンボジアへ渡航したのですが、移植手術を執刀した外科医は皆中国から来た医師であったことが分かりました。また移植手術の非認定病院が、海外からの患者に対して移植手術をしていることが判明しました。認定されずに移植手術を行っている病院はいくつあるのでしょうか?

中国の全ての病院にはそれぞれ共産党支部が設置されており、どの病院も中共の管理下で 運営されていることを認識しておく必要があります。

上記の3例から、各病院、各省、全国の移植件数が一致しないことは明らかです。病院が 報告する実際の移植件数は、全国統計を大幅に上回っています。中国で秘密裏に行われて いる移植の件数は驚異的です。これらの移植に関わる多くの機関は、大規模の主要移植セ ンターです。

中国のデータや情報は不透明であるため、医学界は中国の公式声明に頼るしかありませ ん。しかし、私たちは北京の中国政府を信頼することができるでしょうか?

処刑された囚人の臓器に関する黄潔夫(元衛生副相で中国での臓器移植に関するスポークスパーソン)の複数の声明を見てみましょう。互いに矛盾し、国内向けと海外向けとで異なっています。彼は全部で7つの異なる声明を出しています。 2006年までは、黄潔夫は 臓器は市民の自発的提供によるものだと述べていました。 2007年から2012年にかけて、 彼は臓器が処刑された囚人からのものだと認めましたが、全てインフォームドコンセント を得ていると言っていました。 2012年から2015年にかけて、黄潔夫は、囚人またはその 家族の事前の同意なしに、処刑された囚人から臓器が摘出されたと言うようになりまし た。 2015年、彼は、処刑された囚人の臓器の陰には一連の汚職があり、これらの悪はす べて、中国共産党中央政法委員会(CPL AC)の元委員長である周永康に端を発している と指摘しました。 2015年2月、彼は、処刑された囚人の臓器が臓器提供の流通システムに 入ると、それは市民が自発的に提供した臓器と見なされると述べました。これで、言語上 は、処刑された囚人は臓器源ではなくなりました。 2015年11月、質問を挑まれた黄潔夫 は「中国の臓器提供システムでは死刑囚の臓器を移植に使用することはもはや許可されて いない」と述べました。既に許可されていないので、今から止めるまでもない、と彼は付 け加えました。しかし、死刑囚の臓器の使用に関する中国の規則は今日に至るまで廃止さ れていません。

現在に至るまで臓器移植は中国の病院の主要な収入源です。ドナー臓器の価格は2007年以降上昇を続けています。中国国民の場合、死体ドナーを使用した腎臓移植費は5万ドルですが、生体ドナーを使用した腎臓移植費は臓器提供に関連する医療費も含めて僅か1万 6,000ドルです。 3万4,000ドルという大きな格差のため、生体ドナー臓器の仲介・販売・ 窃盗が焚き付けられています。

病院の収入について、北京の人民解放軍第309病院を例にとってみましょう。同病院によ れば、移植部門が最も収益性の高い収入源であり、臓器移植による収益は2006年の450万ドルから2010年の3000万ドルに増加したといいます。収益は年々増加し続けています。 中共の統計を見ると、移植病院は病棟を拡大し続けているにもかかわらず、2007年から 2016年までの移植手術件数は、増加するどころか逆に減少しています。減少しているのに、なぜ病棟を拡張し、多くの病床を必要とするのでしょうか?

今日に至るまで中国の臓器移植は不透明であり、隠蔽されています。臓器移植件数、臓器 の供給源、臓器の割当に関する情報はすべて虚偽です。臓器移植は潤沢な産業です。中国 人であれ外国人であれ、資産に余裕がある人にとっては臓器の待ち時間は僅か1〜2週間です。不透明な中国の臓器移植システムは、信頼できるものではありません。

なぜ中国共産党のシステムは透明ではないのでしょうか? 主な理由は、中共が今なお中国 の人々を騙し続け、真実を隠しているからです。臓器は莫大な資金を生み出します。中 国の病院や医師は、さまざまなルートを使って臓器を探し求めています。

2000年から2006年まで、臓器は主に法輪功学習者から調達されていました。 2007年以 降、法輪功学習者に加えて、ウイグル人や他の少数民族の囚人も生体臓器収奪の犠牲者に なりました。また臓器をめぐっての売買、窃盗、詐欺もますます横行しています。

中国が倫理的・法的要件を誠実に満たして移植大国になろうとするならば、利潤追求の巨 大市場に中国の臓器移植手術が存在し続けることは不可能です。臓器提供と臓器移植の割 り当てシステムは、完全に透明で公開されなければなりません。 中国で人権侵害が続 き、中共が情報やデータを不透明のままにしておく限り、臓器移植濫用はなくなる見込み がないのです。

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2. Huige Li, MD, PhD

李 会革 MD, PhD

ドイツ: マインツの大学医療センター 薬学教授

ドイツのマインツにある大学医療センター薬理学部の教授兼副部長。DAFOH(生体臓器収奪に反対する医師団)の諮問委員会のメンバー。中国臓器収奪リサーチセンター(COHRC)の2018年報告書の共著者。欧州議会や欧州各国の議会で臓器収奪問題について講演し、The Lancet、British Medical Journal、 BMC Medical Ethics、Cambridge Quarterly of Healthcare Ethicsに中国での移植濫用に関する論文を発表している。

【日本語訳】

李 会革です。ドイツ、マインツにある大学医療センターの薬学教授です。

まず、この機会を設けてくださった方々にお礼を申し上げます。

中国の移植医療は、死刑判決を受けた囚人からの臓器収奪から始まりました。文書化された事例によると、囚人たちは処刑で即死していません。銃弾が頭ではなく、右の胸に撃ち込まれていたのです。

この目的は、臓器灌流を可能にし、臓器の質を高めるためでした。処刑を行った役人の一人がこのことを証言しています。

別の事例では、臓器収奪を行った医師本人が証言しています。

2015年、退役軍医・蒋彦永氏が、香港のジャーナリストのインタビューを受け、「囚人の中には射撃されても死んでない者がいる」と語っており、このような犯罪は臓器産業において公然の秘密であることを暗示しています。

現在、私たちは、SARSコロナウイルス-2が引き起こしたCov-19のパンデミックに直面しています。SARSコロナウイルス-1は、2003年に中国で流行したエピデミックを引き起こしました。当時、中国政府はこのエピデミックを隠蔽しようとしました。蒋彦永氏がSARSの流行を国際的なジャーナリストに暴露したことで、中国政府はウイルスの隠蔽から対策への転換を余儀なくされました。蒋彦永氏の勇気が、最初のコロナ・パンデミックを防いだと言えましょう。

私が共著で医学雑誌に発表した論文に処刑未遂の囚人からの臓器収奪の詳細が記載されています。これが臓器収奪の第1の種類です。実際に起こったことは証明されますが、このような犯罪がどれほど頻繁に行われたのかは分かりません。

こちら(動画参照)は別の医学雑誌に共著で発表した記事です。1997年以来、中国では致死薬注射が処刑に用いられるようになりました。

それではどのようにして処刑者から臓器が収奪されたのでしょうか?

こちら(動画参照)は、安徽省六安市の中級人民法院の文書です。注射を始めてからわずか数十秒で死刑囚が死ぬことが致死薬注射の利点の一つだと記載されています。繰り返します。注射を終えてから数十秒ではなく、「注射を開始からわずか数十秒で死刑囚が死ぬ」と記載されているのです。

医療専門家でなくても、囚人が数十秒で死ぬわけがないことは明白です。

米国の出版物にはこう記載されています。「手順によるが、注射の開始から心停止まで9分から13分かかる」。アメリカでは、さらに5分間待ってから看守が死亡宣告します。

致死薬注射の開始から数十秒では囚人は死んでいないのです。

ではなぜ、数十秒で死刑囚が死亡する、と定義されているのでしょうか?

この文書では、致死薬注射による処刑の場合、ドナー臓器の質が高く、死刑囚の臓器の利用率を大幅に高めると書かれています。つまり臓器収奪のためなのです。

囚人が移植のために臓器を収奪される場合、囚人は常に生存状態にあるわけです。これは非倫理的な行為です。

それでは囚人は痛みを感じるのでしょうか?

『ランセット』誌に掲載された論文によると、検死の際、致死薬注射の麻酔成分であるチオペンタールの血液中の濃度を調べた結果、88%の事例が手術に必要な濃度より低く、43%の事例が死刑囚に意識が残っている濃度でした。

ですから致死薬注射は人道的ではありません。

もし、この状況が中国に当てはまるのであれば、囚人たちは極度の苦痛を受けたことになります。

これは第2の種類の臓器収奪です。

第1も第2も死刑を宣告された囚人が対象です。ですから死刑という形式が取られているわけです。

それでは良心の囚人(無実の人々)、政治犯には死刑宣告はありません。このような囚人からはどのように臓器を収奪するのでしょうか?

こちら(動画参照)は『河南医学研究』に発表された論文です。中国の人民武装警察部隊病院(軍を有する病院、軍病院の一種)で心臓移植が行われました。

この心臓移植が行われたのは2001年でした。2001年当時は「脳死」の概念がなかったので、臓器提供者が脳死患者とされることはありえません。

ドナー心臓の摘出の手順を見ると、まず全身ヘパリン投与が行われていますが、全身ヘパリン投与は心臓が鼓動し、血液循環がある場合のみ有効です。ですから、このドナーは心停止していません。

さらに読むと、「冷却心筋保護液を大動脈基部から心臓の拍動が停止するまで灌流」とあります。

心臓は動いていました。

冷却心筋保護液が心停止を引き起こしました。

ですから、このいわゆる「ドナー」は、脳死でも心停止でもない生存した人間であり、医療専門家により殺害されたのです。

これが良心の囚人からの臓器収奪の状況と考えられます。(第3の臓器収奪の種類)

良心の囚人が移植臓器を収奪される場合は常にこのような深刻な状況です。ドナーに息を引き取らせてから臓器を摘出するというのは、移植の成功を第一とするのなら、無駄な手順です。

中国には脳死判定に関する法律はありません。2003 年、衛生相は、脳死判定基準および脳死判定の技術仕様書を作成しました。この年から、脳死判定が行われ、脳死者の臓器提供が行われるようになりました。

公開されている脳死判定基準には、深昏睡、脳幹反射の消失、自発呼吸の消失の3条件を満たす必要があると明記されています。またこの基準では、自発呼吸がないことを無呼吸テストで確認する必要性を明記しています。

無呼吸テストは、患者を人工呼吸器から8〜10分間、切り離すことで行われます。つまり、脳死判定は、人工呼吸器を装着している患者にしか行えません。

しかし、中国の論文には、このことが守られていない事例が見受けられます。

これは(動画参照)昆明医科大学の論文です。この論文では、7人のドナー全員が脳死状態としていますが、昏睡の原因については触れていません。脳死判定という言葉も一度も出てきません。

心臓の摘出方法を見ると、ドナーの脳死後、人工呼吸のために気管内挿管を行ったと記述されています。

脳死判定は、すでに人工呼吸器を装着している患者でなければ行えないということは、先ほども述べたとおりです。ですから、脳死後に、人工呼吸のための挿管を行うのは、悪い冗談です。つまり、脳死判定が行われていないということで、このドナーは脳死患者ではありません。

さらに見ていくと、気管内挿管による人工呼吸の後に、直接心臓を摘出する処置が行われています。心臓は動いていて、冷却溶液が心停止を誘発したことは明確です。

この事例では、脳死判定は行われず、心臓は作動していました。つまり、心停止ドナーではありませんでした。生きている人間が心臓を医師に摘出されたことで殺害されたのです。

このような事例は他にも多くあります。こちら(動画参照)は軍病院の論文ですが、脳死後に気管内挿管が行われています。また、こちらは大学病院の論文ですが、気管内挿管の直後に臓器摘出が行われています。

別の病院では、急性の脳死の後で、気管内挿管が行われています。軍病院からの別の論文では気管内挿管の直後に心臓が摘出されており、特にこの事例では心臓が作動していたことが明確です。数回の心拍により心臓は空になったとありますので、心臓は拍動していました。

つまり、脳死判定がおこなわれておらず、いわゆる「ドナー」が脳死ではなかったという事例があり、さらには心臓が明らかに作動していて、脳死でも心停止でもない事例もあります。

このような場合、生きている人間が医師によって殺害されているのです。

これが第4の生きている人間からの臓器収奪の種類です。

結論として、中国では初めから死刑囚を臓器収奪に利用していました。これは非倫理的であり、周知の事実です。2010年の年以前は、中国の法律に従ってさえ、ほとんど同意なしに死刑囚から臓器が摘出されていたことを、中国の当局者はすでに認めています。これは組織的な犯罪です。

そして生体臓器収奪、つまりまだ生きている人間からの臓器収奪は、死刑囚からも政治犯からも行われています。これは「人道に対する罪」です。

私のプレゼンテーションはここまでです。

ご静聴ありがとうございました。

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3. Kathleen Thimsen DNP, ET/WOCN, FNS

キャサリーン・ティムセン DNP, ET/WOCN, FNS

米国:UNLV准教授、プログラム・ディレクター、看護学博士号。

ジョンズ・ホプキンス大学で修士号取得後、レジス大学で看護学の博士号を取得。法医学看護、教育、創傷ケア、地域保健に関する専門家として講演や執筆を行う。全米看護協会の会員・顧問。法医学看護アカデミーおよび法医学看護認定委員会の共同設立者。

【日本語訳】

おはようございます。法医学看護師は一致団結して臓器収奪に反対しています。まず、法医学看護師について紹介させてください。法医学看護師とは、法医学、医療ケアの法的側面、看護において、高度な教育と養成を受けた正規の登録看護師です。暴力、犯罪、トラウマ等によって何らかの影響を被った被害者のケアに関わります。法医学看護師は、法医学看護の全般を扱うか多くの分野から選んで専門家となることが可能です。臓器収奪に関して出番となる専門分野は人身売買です。私たちは過去20年間、世界中で人身売買と法医学を担当する看護師を育成してきました。

さて、臓器収奪とは何でしょうか?それは、移植のために人間の臓器や体組織を強制的に摘出するための国家による個人の殺害です。誰が被害者であるかを私たちは必ずしも特定できません。被害者はしばしば使い捨ての対象と見なされる弱い立場の人々だからです。社会的要因により健康上の問題を抱えている人々、特に貧困に突き落とされた人々、十分な教育が受けられなかった人々、声なき人々、誰にも益をもたらすことのない違法な経済的搾取の手にかかって犠牲となった人々です。これらの被害者を食い物にすることは、個人だけでなく、彼らの家族、彼らの友人、彼らのコミュニティ、そして最終的には国家に悪影響を与えます。臓器収奪は重大な公衆衛生上の問題であると同時に、臓器の調達・回収・移植のプロセスに巻き込まれた多くの人々の人権を脅かすものでもあります。

臓器収奪の被害者は間違いなくこの定義に適った人たちです。被害者に寄り添い、トラウマに関する情報を提供していくケアや対策が有効です。臨床的および社会心理学的な向上をはかり回復力をつける理論的枠組みの基盤です。移植に使用される1つの臓器によりドナーとレシピエントは繋がっており、この両者がこの臓器収奪の被害者です。

主たる人権侵害の対象は、異常な措置の下で移植のために臓器提供を強要された被害者です。囚人であれ、ホームレスであれ、貧困に突き落とされた者であれ、彼らは皆弱い立場にある人たちです。具体的な被害として、死、家族の恥、社会的影響が被害者学の面から指摘できます。

収奪臓器を移植される個人は、移植計画の時点で、また移植手術に際してさえ、何も知らされていません。したがって移植される臓器の出所や品質についての知識がありません。その結果、しばしば合併症、拒絶反応、そして精神的には罪悪感、恥、後悔の念に苛まれます。

では、問題解決に向けてどのような対策を検討すべきでしょうか?それほど頻繁ではありませんが、被害者が臓器収奪を生き延びることができた場合、悲劇との折り合いをつけるために、治療内容の情報を得た上での集中的なトラウマ治療、アフターケアが必要です。健康保険、リハビリサービス等を統合して手順を定める必要もあります。また、どの臓器であれ、愛する家族が臓器移植に利用されたことで影響を受けた家族も治療の対象とする必要があります。

それから、収奪臓器のレシピエントですが、彼らは臓器移植が必要なので必死になって臓器を探し求め、それとは知らずに結果的に他人に危害、傷害、暴行、場合によっては死を引き起こしたわけなので、臓器移植の後にしばしば心のバランスを崩します。

この状態は、臓器収奪に関与した事実、そのプロセスが表面化すると、さらに悪化します。強烈なトラウマの治療を治療内容の情報を得た上で受ける必要があります。そのような残酷な手段で得られた臓器の移植によって生命が救われたという現実と折り合いをつけるためのセラピーです。私たちは法医学看護師として諸々のプログラム、教育や研究に焦点を絞って活動しています。同僚のデブラ・ホルブルックが、いくつか実証済みの対策や解決策について皆さんにお話しします。ありがとうございました。

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4. G. Weldon Gilcrease, MD

G.ウェルドン・ギルクリース、MD

米国:ユタ大学医学部 腫瘍学部長、准教授

ギルクリース博士は、ハンツマンがん病院の医療主任。血液学/腫瘍学フェローシップのプログラムディレクター。医学教育へのたゆまぬ努力が認められ、数々の教育賞を受賞。医学に貢献する者が栄誉としてメンバーに選出されるAΩA(アルファ・オメガ・アルファ)協会の会員。DAFOH(生体臓器収奪に反対する医師団)の副代表としてこれまで5年間活動。DAFOHを代表して全米の学術センターで講演を行い、生体臓器収奪を止めるための立法に貢献し、近年の史上最悪の医療倫理濫用についての認識を高めるために弛まぬ努力を続けている。

【日本語訳】

皆さん、こんにちは。本日はご参加いただきありがとうございます。私たちの時代の最も重大な医療倫理問題として挙げられる生体臓器収奪の問題についてお話しする機会を賜り誠に光栄です。生体臓器収奪において重要と思われるいくつかの点を取り上げようと思います。証拠やデータの概要をお話しするのではなく、証拠やデータを使って私たちはどう行動するか、このことをどのように医療機関に広めていくかについて、私の経験をお話しします。

私が提起したい最初の問題は、2006年のデービッド・マタス氏とデービス・キルガー氏の最初の報告(『戦慄の臓器狩り』ーその後『中国臓器狩り』として書籍出版)にもかかわらず、生体臓器収奪が沈黙に包まれていたことです。その後の15年間にわたり、イーサン・ガットマン氏の『臓器収奪ー消える人々』(2014年)、そしてマタス氏・キルガー氏・ガットマン氏の共著による『中国臓器狩り/消える人々《更新版》』(2016年)、さらに「中国(臓器収奪)民衆法廷」(2019年ー口頭;2020年ー書籍)の裁定が発表されました。どのデータを見ても、全て同じ結論、即ち中国全土の医療機関や移植センターで臓器摘出が確かに行われているという憂慮すべき結論に達しています。ところがこのことが医学界でも世界でもほとんど認識されていなかったのです。

では、どうして皆、沈黙してしまうのでしょうか? 具体例を挙げたいと思います。私は米国中部にある中規模の学術機関に勤務しています。私は他の人たちとともに生体臓器収奪を阻止するために自分たちでできる行動を起こそうとしてきました。その一例ですが、私たちの機関では毎年、ある程度の数の臓器移植手術を行っています。臓器移植の養成のために中国人研修生を受け入れないように私たちなりに取り組みました。彼らは中国に戻って生体臓器収奪に加担する可能性が高いからです。

取り組みの結果は?中国人研修生を受け入れない体制は正式に確立されませんでした。機関のトップにこの話を持ちかけると、彼らは決まって同じ対応をします。つまり、生体臓器収奪が行われていることは間違いないが、中国のような強大な国に対して明確な態度を表明することは、私たちの機関にとっても、私たちの大学や大学院にとっても危険を伴うという回答です。

具体的には、2019年末、私は医療システムのリーダーの1人に、「私たちは立場を明確にしなければならない」「私たちは生体臓器収奪に対して何をすべきか皆で話し合うべきだ」と持ちかけました。「中国(臓器収奪)民衆法廷」が、50人以上の証言者に聴取し、入手可能なデータ・報告書を精査したうえで裁定を発表したすぐ後のことでした。2000年代の初めに中国の臓器移植件数が爆発的に増えた事実を説明する中国側のデータはありません。臓器のために無実の人々が殺されていることが、唯一の納得のいく説明でした。これだけ酷い大規模な犯罪は、医療史上、前代未聞です。

自分の医療機関のトップに話を持ちかけたとき、「中国共産党ならそのような残虐行為をやりかねないし、実際に起きていることは疑いの余地がないのだが、私たちが何か言えば、中国はすべての中国人学生をテキサス州に送りつけるかもしれない」という回答でした。おかしなことを言うなと私は思いました。ここはテキサス州ではないし、中国が学生をテキサス州に送ることがどう関係するのか?つまり、このような経済的な報復に対する恐れが、私たちの多くの対応を左右しているのだと思います。

私たちの機関、私の所属するクリニックで、呼吸器学と心臓外科において少なくとも2人の中国人を養成したことに深く懸念しています。彼らが中国に戻って独立した医師になることはありえません。基本的に中国の医師、外科医など全ての人々は常に中国共産党の管理下に置かれています。さらに、私たちの機関には中国の機関と緊密に協力している人間が数名います。その中には中国へ行って講義をしたり、中国から人を連れてくる者もいます。実際、私たちの研究室やクリニックで働き、自分の研究室で助成金Research Project Grant(R01)を得て中国人を研究させています。

では、なぜ私たちは中国と協力し中国に従事する態度をとってきたのでしょうか。 2017年に医学雑誌BMJ: British Medical Journalに掲載されたウェンディ・ロジャース氏、マシュー・ロバートソン氏、ジェイコブ・ラヴィー氏による素晴らしい論説がありますので、ぜひお読みください。デービッド・マタス氏、デービッド・キルガー氏による2006年の報告が発表された後、国際移植学会、さらには医学界全体が採ってきた、中国との協力・中国への従事を詳述しています。

それでは、従事・協力・提携の立場を取りながら、中国が変わるのを待つという方法は機能したのでしょうか? 一言でいえば、ノーです。米国は外交や経済の面でも同様の方針をとってきましたが、惨憺たる結果に終わっています。一例を挙げると、ここ2年の間に、米国機関で働くトップクラスの科学者、医師、学者が中国共産党と密接な関係そして経済的な関係にあったために辞職を余儀なくされました。連邦政府に報告する義務を怠ったことが理由でした。2019年にアンダーソン医師が辞職させられました。2019年末と2020年初めにフロリダ南部のモフィット癌センターでも、トップが辞めさせられました。中国人でも中国系でもありませんでしたが、米国政府に中国との緊密な関係を報告しなかったからです。このように密接に従事し協力することは実に危険なのです。しかし、これらは、まだましな方です。

邪悪な政権の支配下にある医療システムと協力・提携することは危険です。生体臓器収奪で目にされている通りです。生体臓器収奪は何もないところから降って湧いたものではありません。実際、中国で移植センターを設立したほとんどの医師たちは、欧米の機関で移植医療の研修を受けています。2006年の報告書が発表される前に、医療関連サイトにはその事実が自慢気に記載されていました。移植医療は現代における医学的な偉業として挙げられます。この問題は臓器移植を非難するものではありません。非難されるべき問題は、邪悪な手段で臓器移植を利用する邪悪なシステムです。

もう一つ指摘しておくべき重要なポイントは、中国共産党は中国という国と同一ではなく、また中国の歴史や文化、中国の国民と同一ではないということです。中国共産党は自国民だけでなく、他国の人々の目も眩ませてきました。彼らは中国共産党が中国や中国国民と同義語であり、中国共産党への攻撃は国民と国への攻撃であると、世界の人々に思い込ませようとしています。これほど真実からかけ離れ、これほど真逆な話はありません。生体臓器収奪というおぞましい人権侵害で中国共産党を非難することは、中国共産党が中国の医療システムを利用して行っている邪悪から中国という国と中国の民を解き放そうとすることです。このようなことを言うと、「政治的だ」と捉えられがちです。中国共産党が好んで使う表現です。政治的であろうとなかろうと、私たちの医療分野は政治から切り離されるべきです。政治から医療を切り離すということは、中国共産党に対して居心地の悪い立場は取らないようにするということではありません。反対に、中国共産党に対して物申すべきだという意味です。彼らが我々の領域、専門家、医師、外科医を取り込み続けるのであれば、このまま黙っているわけにはいきません。

最後にもう一点指摘したいことがあります。仮にもし中国が臓器移植濫用を一斉に止めたとしても(実際にはありえないことですが)、この極悪犯罪の責任を追及しなければなりません。このようなことを二度と起こさないために重要であり、医療現場で過去15年間、私たちが許容してしまったことを、正当に処理する唯一の方法だと思います。

最後に、この場に集まってくれた皆さんに感謝申し上げます。声を合わせることによって、現状が変えられると思います。私たちの機関で、私たちの移植センターを変えていくことができます。このためには、このようなことが起こり続けることはこれ以上容認できないという声をしっかりと合わせていく必要があります。私たちが何も言わなかったために、臓器収奪は起こり続けました。「何も言うことができない」ではもう済まされません。

ご清聴、ありがとうございました。のちほどご質問にお答えさせていただきます。ありがとうございました。

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5. Raymond Scalettar, MD, DSc

レイモンド・スカレッター MD, DSc

米国:GWUメディカルセンター名誉教授、米国医師会(AMA)元理事長

米国リウマチ専門大学の学長。ジョージ・ワシントン大学メディカルセンターで臨床医学の教授を歴任。50年以上にわたる開業医。この期間、米国医師会の理事長も務める。著書も幅広く、テレビ・ラジオ番組にも出演し、米議会で証言もしている。

【日本語訳】

この非常に重要な会議にご招待いただき、ありがとうございます。 臓器移植と医療機関の責任についてお話ししたいと思います。

ここ米国の国内では、米国医師会(AMA)などの医学会が移植に関する倫理的ガイドラインを発表しています。遵守しない場合、米国医療委員会連盟(Federation of State Medical Boards)による開業医への叱責、医師免許取消となる可能性があります。また、非倫理的な行為に関与した施設については、認定取消の可能性があり、訴訟や弁償金の取消につながる可能性があります。つまり廃業です。

さて、生きているドナーからの臓器移植に関する倫理規定はどうなっているのでしょうか? AMAはかなり詳細に定めています。重要なポイントいくつかに言及します。

ドナーとレシピエントに関しては、本人を保護し、リスクを軽減するための支援チームが必要です。事前にドナーとレシピエント相互の合意が求められます。金銭授受や移植手術の商業化による利害の衝突があってはなりません。そして将来的には、米国での移植研修生はこれらの倫理原則に同意しなければ、臓器移植プログラムには参加を認められません。

国際社会での問題は?

米国医師会(AMA)は、世界医師会(WMA)の主要メンバーです。WMAは各国の医師会の連合体であり、中華人民共和国もメンバーです。年に数回会合が開かれ、執行委員会が指導しています。

世界医師会は、世界の数百万人の医師を代表し、医療と倫理において最高基準に達成することを目的とします。WMAに対してAMAはかなりの影響力があります。 2020年にWMAは移植関連の阻止・撲滅に向けて宣言を発表しました。

これまでのWMAの決議は、中華人民共和国がウイグル人と法輪功の囚人に対して倫理基準に違反しているという多くの報告を、受け入れることなく非難してきました。

世界保健機関(WHO)は?

WHOは世界の保健に対する責任を担う国連機関です。 WHO、WMAを規制する機関はあり ません。 2018年のWHOによるイスタンブール宣言は、同様の倫理原則を採択しました。

しかし、WHOは中国における移植ツーリズムと臓器収奪の問題については沈黙しています。

一部の移植外科医が2020年6月に宣言を発表し、この科学上の不正行為に注意を警告しました。医師は臓器売買と移植ツーリズムに関するガイドラインを確実に遵守し、医学誌はこの目標を堅持しなければならないという声明を出したのです。

ロンドンで独立した法廷として発足した「中国(臓器収奪)民衆法廷」は、中国が過去20年以上にわたる強制的で致命的な臓器摘出を行い、「人道に対する罪」を犯したと2019年に結審しました。

Annals of Surgery(外科年報)では、中国からの新型コロナ肺炎の末期症状の高齢患者に肺移植がほどこされたという記事を最近掲載しています。レシピエントの肺は3〜4日で入手されており、深刻な倫理問題が懸念されます。米国では、ドナー登録者数が中国よりもはるかに多いにもかかわらず、この種のドナーが見つかるまでの待機時間は最低でも15日です。

また、これほど高齢な重病患者がレシピエントとして選ばれたことも問題です。さらに同記事には術後5日以降の経過(生存)に関する情報が皆無です。

掲載された記事の批判に私たちは加わりました。しかし同記事の著者からは、批判に対する回答は一切なく、回避的です。倫理の原則にそぐわない、このような論争を呼ぶ記事を Annals of Surgery(外科年報)が発表した理由が真剣に問われます。

結論として、国内並びに国際的な倫理のガイドラインがあるにもかかわらず、臓器売買、移植ツーリズム、臓器移植濫用は続いています。悲しいことに、中国においてこれらのガイドラインに対する透明性のある取り組みはありません。

この重要なイベントにお招きいただき、誠にありがとうございます。

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6. David Beyda, MD, PhD

デビッド・ベイダ MD, PhD

米国:アリゾナ大学生命倫理・医療ヒューマニズム学科長

「Medical Mercy」の創設者兼医療ディレクター。非営利の擁護団体「One Child Matters」とともに、5つの地域で数千人の恵まれない青少年のために活動している。2004年以来、55回以上の医療旅行で第三世界の恵まれない子どもたちに医療サービスを提供。また、草むらパイロット医師でもあり、医療チームがアフリカやカンボジアの孤立した地域を訪れるようにしている。数々の栄誉ある賞を受賞しており、アメリカ小児科学会からは「ヒューマニタリアン賞(人道支援賞)」を受賞。

【日本語訳】

皆さまとお話をさせていただく機会を賜り、誠にありがたく存じます。

残念ながら、喜んで多くを語れるような課題ではありません。非常に論じにくい問題です。 ここでは、倫理と道徳の視点からお話しさせていただきます。

まず皆さんに質問させて下さい。自分が透明人間だと感じたことはありますか? 自分が他の誰かの前に立っていても気づかれず、誰にも話しかけられず、まるで自分が存在しないかのように感じたことはありますか?

一つ例を挙げましょう。赤信号の前で車を停めた時、視界の左端でホームレスの男性を認知したけれど、敢えて見ようとせず、早く信号が青になるのを待っていたというご経験をお持ちの方はどのくらいいらっしゃるでしょうか? ホームレスにせがまれたくないので無視したのです。

ホームレスに目も向けないという事実は、彼が人間であること、さらにはその存在を無視することを意味します。

この視点に立つと、生体臓器収奪全体の起点が見えてきます。手術する者にとっては、臓器を摘出される人間は存在せず、自分たちの利益のために利用する物品だけが存在します。臓器を贈り物として有難く受けるという理解は、ここにはありません。

ここで人格(personhood)の概念を考えてみましょう。

人格の尊重には、全ての人の権利が根底にあります。人間として認められている者には誰でもその権利が認められています。比較的一般的な権利としては、尊厳、信頼、そして公正・ 誠実を貫くことがあります。しかし、誰かを人として認めなくなった瞬間、その人間を利用する可能性が生まれます。私たちは「それ」「何か」「物品」としてみなすことによって、 その人間がほぼ姿を消してしまうのです。

生体臓器収奪の世界では、このようなことが現実と化しています。

連行され、投獄され、臓器のための物品として使われる者は人間とは見なされていません。 彼らは物品なのです。

そして手術を施す外科医 – 手術というより屠殺する – 外科医も人間ではありません。彼らは自分がなりたいと思うものに変化していくからです。彼らは人間としての境地から離れていきます。

私たち医師は宣誓した責任があります。私たちには義務があります。第一の義務、第一の責任は、向かい合っている相手が自分に助けを求めている人間だと認識することです。私たちは相手が人間であると信じています。人間として関わり、信頼関係を築きます。そこには人間としての尊厳が存在します。

しかし生体臓器収奪では、尊厳は皆無です。自分の利益のために弱者を利用する者は、倫理的に見て道徳の基盤が完全に崩壊しています。

多額の資金を払って臓器を入手する個々のものは、人間とすら呼べません。自己満足のために他人を犠牲にしているからです。

医学的、倫理的、道徳的な観点から見て、臓器を求める者はただ自己の欲求を満たしているだけで、道徳観念を持ち合わせていません。「自分さえよければ」の理念で動いているのです。
弱者にこのような残虐な行為をする外科医は、医師、医療の枠組みからはるかに逸脱しています。彼らは治療医という授けられた職業に全く値しません。

倫理学者、重症患者医療の専門医という私の立場から皆さんにお伝えしたいことは、「人格」 という概念です。私たち全てが共有する、人間として最も重要なこの概念が、生体臓器収奪というおぞましい行為では、完全に破壊され、ないがしろにされ、全く存在していません。

もう一度お聞きします。自分が透明人間だと感じたことはありますか?

拘束され、強制的に臓器を摘出されている人たちは、透明人間です。

透明人間になりたいと思う方はいないでしょう。

私たちは透明人間になりたくありません。一人の人間として扱われたいのです。

ご清聴ありがとうございました。

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7. Declan Lyons MD, PhD, MSc, MRCP

デクラン・ライオンズ MD, PhD, MSc, MRCP

アイルランド: トリニティ・カレッジ 精神医学准教授。

アイルランドのダブリンにあるセント・パトリックス・メンタルヘルス・サービスで老年精神医学と一般成人精神医学の専門医を務める。ダブリンのトリニティ・カレッジの臨床精神医学の准教授でもある。精神科診療、医学教育、患者の心理教育、高齢者の心理的リハビリテーションに影響を及ぼす倫理的問題を含む様々な課題で臨床・研究に取り組んでいる。アイルランドの国立感情障害慈善団体Awareの理事。生体臓器収奪に反対する医師団(DAFOH)のアイルランド代表。

【日本語訳】

生体臓器収奪の阻止・撲滅に関する国際サミット」にお招きいただきありがとうございます。

デクラン・ライオンズです。なぜ私がこのサミットに参加したのか、その理由をお話させてください。

中国での臓器収奪がやむことなく報告されていることを深く懸念します。倫理的にも医療面でも、重大な冒涜です。

アイルランドに居住する医師として、中国人の同僚の中に、倫理より権力を優先させている行動が見られることを深く憂慮しています。

基本的な倫理基準から大きく逸脱したこれらの行為への沈黙は、良心の許すことではありません。

医療全般において倫理的な判断は日常的に求められます。臨床倫理の実践に格差があれば、あらゆる場面で生命倫理を弱体化させてしまいます。

臓器移植は一大産業であり、中国では年間10億ドル規模の市場で、年間6万から10万件の移植手術が中国で行われていると言われています。

移植用の臓器のほとんどが処刑された囚人から摘出されてきたことは、ここ数十年にもわたり知られてきました。自発的な臓器提供への歓迎すべき動きとして、2015年に制度が導入されましたが、国連特別報告者らが今年(2021年)6月に「中国の民族、言語、宗教的少数派が、依然として非自発的な臓器収奪の対象になっている」ことを発表しました。心臓、腎臓、肝臓、角膜が最も頻繁に摘出されている臓器です。このプロセスには、外科医、麻酔科医、一般医、看護師、その他の医療従事者など、多くの臨床関係者が関わっています。これらの懸念に対して、調査・反論するためのデータは、中国からはほとんど出てきていません。

倫理的義務の観点から、医師はどこにいても臨床倫理をしっかりと身につけている必要があります。毎日の医療行為の基盤には、「公然とした」倫理理念、「目立たない」倫理理念、理解を助ける「知覚」の三点が求められます。

日々の医療行為において倫理性に常に目を向け、診療のやり方、手続き、手順の見直し・改善への心構えが求められています。

臨床医と患者の間に信頼関係が育まれ、それが当然であるような治療環境を作るために、適切なケアとコミュニケーションが求められています。このためには、臨床医と患者が互いに学び合えるプロセスが必要です。そうすることで、治癒プロセスが滞りなく進みます。

医師が患者を擁護し、患者のカルテの機密保持などプロとしての責任ある行動をとることで、基本的な信頼が確立され維持されます。必要な助けを求める上で医師に対する信頼は不可欠です。信頼されることはあたりまえではありません。より大きな信頼を得るために、常に患者の立場に立った行動を取ることが必要なのです。

端的に言えば、患者は我々の家の客人であり、自分が受けるケアに対して、それなりの権限と期待を持つことは当然だと私は考えています。

医師がいかに養成/教育されるべきかという点は、ますます強く認識されており、新しい学問分野として「医療プロフェッショナリズム」が確立しています。学部教育、大学院教育、専門職の継続的な養成でも、医師教育のカリキュラムの新しい科目となりつつあります。「医療プロフェッショナリズム」「倫理意識」は、医師が生涯にわたって継続的に学習する唯一の科目であることに間違いはないでしょう。

倫理的実践の原則は、まず第一に、他者に対しては、患者の自主性を尊重すること、害を与えないこと、そして自らの仕事においては、善良、公正であることです。

倫理とは、多くの点で、弱くて誤りやすい人間としての医師と、能力のある医師との格差を埋める微妙な認識です。知識だけでなく明確な専門技術は、医師にとって重要です。知識はネットを通して一般に活用されるようになってきています。

しかし、中国での臓器収奪や人身売買のようなあからさまで法外な倫理を汚す行為は、世界中の医療関係者を怒らせるものです。

個々の臨床医は、国家による抑圧の代理人となるか患者の擁護者であるかという基本的な利害衝突の問題に、倫理的に立たされます。この二つは全く相入れれません。

実際には、ドナーの自由意思に欠けた臓器収奪は中国で何十年も行われてきました。悲しいことに、医療関係者の協力を得てきたことは広く認められています。

これらの疑惑を否定する反論や信頼に足る回答は、関係当局からは得られていません。

世界の医学界では、これらの行為があまりにも深刻なため、ほとんど知らないか、信じられない状態だと思いますし、権威ある方々は、基本的にこれらのことが真実であるはずがないと考えています。

医師は可能な限り、社会の公益のために行動する義務があります。例えば公衆衛生を守ることです。その役割の中で医師や看護師、そして情報や事実が、命を救います。パンデミックのロックダウンの際に世界中で見られたように、審議に耳を傾け、自発的に経済不況に突入してでも命を守ります。

私たちが見聞きしている中国で起こっていること、中国で拘束中の「良心の囚人」の死、身体切除、心理的外傷がもたらしているものは、過酷で深刻です。基本的に、弱い立場の人々が投獄されたままであり、いつ拷問や死を経験してもおかしくない状況です。

世界中で医療への信頼が損なわれることで、例えば将来の世界的なパンデミックに直面したときに、医療に対する抵抗や特に行動を起こさない状況をもたらす可能性があると思うのです。

もし、医療倫理からは甚だしく逸脱したこのような行為を医師が容認するのであれば、将来、どのような信頼を得ることができるでしょうか?さらに、国家が支援する残虐行為は、持続可能な人間の開発を支えるべき道徳的・市民的な価値を侵食しています。

自身の体に対する自主性や支配権の欠如は、人間の存在の中心にある特徴、私たちがごく当たり前のように享受しているものを破壊してしまいます。

臓器収奪の疑惑にどう対応したらよいのでしょうか?調査が必要です。調査の積み重ねが求められます。

中国当局は、2014年以降、臓器収奪の削減に進展があったのなら、そのデータを公表し、国際社会による検証を可能にするよう回答すべきです。中国で行われているすべての臓器移植が国際的に検証されたシステムに登録されることが求められています。臓器源への信頼性を回復するために必要なことです。

医師や中国国家に対して、倫理的な義務について教育していくことが求められています。特に臓器移植の海外研修に参加した医師たちを対象にすべきです。国際社会と関わりを持つ必要があります。中国は国際社会と関わらなければ孤立する危険性があります。ウイルスのような生物学的脅威は、これまで見てきたように、人的な国境は無意味です。例えば、COVID-19のゲノムを早くから共有したことで、世界的な対応とワクチン開発が可能になりました。このような医学界の協力と連携は非常に有益で、このパンデミックをいつの日か制御し、根絶するための希望を私たちに与えてくれました。

しかし、逆に言えば、生命倫理に格差があると、地上のあらゆる場所で生命倫理を弱体化させます。中国の臓器提供においては、公共の教育を通して、国家強制ではない利他主義を育む必要があります。他人のために寛容に自己の臓器を提供することが、臓器提供の根底にあるべきです。

医師による犯罪行為と、日常的によく見受けられ許容されている倫理的な過ちとは、明確に区別されなければなりません。しかし、中国で見られる倫理や基本的な倫理的行動からの逸脱のレベルは極端です。制裁はこの明確な区別のもとで行われるべきです。外交・商業関係者も見逃すべきではありません。彼らは、中国における人権への懸念をますます声高に訴えています。2021年、どこの国の世論もこのようになってきました。

悪事をはたらくことのない良い方法、医療倫理基準を遵守することで、日常の倫理性の観点に立つこととなり、医療専門家のコミュニティー内でよく見受けられる恐怖、汚名、恥などの多くの複雑な感情が濾過され、個人的な充足感が得られます。基本的な倫理基準について、自分達を教育することは、中国の医師にとって有益です。

より良い習慣を構築していく必要があります。医療行為を標準化し、我々のシステムを改善することが求められています。最大限の数の人々にできうる限りの健康と、出来うる限りの可能性が引き出されるようにすることが肝要です。国家の命令や個人の利益のために無実の人々を切り刻むこととは正反対のことです。

医療専門家は、倫理観や専門家としての基準を一新し、卓越した存在になることで、インパクトのあるキャリアを歩むことができます。私は、誰もが残酷なことをしようとしたり、医学のキャリアにおいて早い段階で職業意識を捨てるとは思いません。しかし、何よりも、自国の技術力に見合った模範となるバランスの取れた臨床医を中国の次世代に私たちが育成する必要があるのです。

私の個人的な動機を説明させてください。私は法輪功学習者ではありませんが、支援の声をリードしてきました。

2001年以来、法輪功学習者がunconネットワークの司法精神医学の同僚から虐待を受けていることに気づき、それ以降、こうした行為に対して声を上げてきました。

私は信教の自由への権利を支持します。私自身は法輪功学習者ではありませんし、法輪功は全ての人にアピールするものではないかもしれません。しかし、「真・善・忍」という道徳規範には普遍性があると思います。

22年間の迫害はあまりにも長すぎます。中国がグローバルなリーダーとなり発展していこうとする願望は、人権侵害に焦点があてられることで阻害されていくでしょう。国際社会に完全に受け入れられるために、中国が通過すべき試練です。

人権を守り、環境を保護することは、21世紀における社会の成功の鍵です。中国共産党はいつになったらこの責任を果たすようになるのでしょうか?

「ヒポクラテスの誓い」を2021年に書き改めるとしたら、下記のようになることでしょう。

2021年、我々は病気と向き合うだけでなく、患者を一人の人間として考えます。我々自身が病気になったときに受けたいと願う医療の水準で、我々は患者に対して敬意と技術と思いやりを以って治療します。これは実現します。私は、健康の模範となり家族や地域社会のために自分を役立たせることを誓います。そして、無私の心で導いてくださった恩師の方々のためにも、残された道を患者のために尽くします。

「ヒポクラテスの誓い」をさらに高めました。中国の医師たちが熟考されることを切に願います。

ご清聴ありがとうございました。

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(https://worldsummitcpfoh.info/events/transplant-medicine-at-a-crossroad-an-ethics-based-profession-usurped-and-repurposed-for-genocide/)