第6回 政策立案 生体臓器収奪犯罪に対応する立法政策

6回目の最終セッションでは、立法者、国会議員が、地元から国際的な視野までの視点に立ち、移植濫用を効果的に撲滅し、生体臓器収奪が起こらないようにするための措置・提案を論じます。
2021年9月26日
1. Arther L. Caplan PhD.

アーサー・L・キャプラン PhD.

米国:ニューヨーク大学グロスマン医学部Mitty生命倫理学教授および医療倫理学部長。

アーサー・キャプランは、医療倫理の分野で著名な教授・研究者であり、移植医療における倫理のテーマについて広く論文を発表する専門家である。キャプラン博士はニューヨーク大学ランゴン医療センターの生命倫理学部門の責任者。前任は、フィラデルフィアにあるペレルマン医学部のペンシルバニア大学医療倫理学科長、シドニー・D・キャプラン生命倫理学教授。

【日本語訳】

皆さん、こんにちは。この非常に重要なテーマについての私のプレゼンテーションをご視聴いただき、有難うございます。

中国は引き続き、臓器提供の巨大なクジラのような存在となっています。世界中の多くの人々が、中国に臓器移植のコミュニティーや医療界、科学界へ戻ってほしいと思っていますが、それを実現させる前に、中国には引き続き取り組まねばならない、臓器移植に関する深刻な倫理的問題が存在しています。

中国は過去25年間、病院での臓器調達や移植手術において、驚異的な成長を遂げてきました。そのため、中国は世界一とはいかないまでも、確実に世界第2位の移植国です。

しかし、問題は、中国から報告された臓器提供のデータが、あまりにも出来過ぎていて信頼性に欠けるということです。

臓器提供に関して公開されている情報は真実とは思えず、すべての臓器の出所の説明にはならないことを多くの研究が指摘しています。また、中国における臓器の入手方法は、透明性に欠け、検証もなされていません。

中国当局は、移植データを「国家機密」と称することがありますが、受け入れられるものではありません。中国の野心的な臓器移植プログラムと改革への取り組みに関しては、独立した科学的検証、独立した法的検証が必要です。

現時点での結論としては、変化はあったものの、現在の自由意思による臓器提供システムの運用には、自由意思のない臓器提供者が並行して用いられているようです。最も妥当と考えられることは、誤って囚人と自発的ドナーの両方に分類された人々が犠牲になっていることです。

ここでの問題は「誰が囚人に分類されているか」です。司法や法律が治める国家では受け入れられないような理由で、中国では多くの人が囚人と分類されています。中国では、民族、人種、部族の習慣、宗教や精神的な慣習などの理由から囚人と分類されています。中国の教養労働所や強制収容所には、膨大な数の囚人がいます。他にも多くの人々が、誰にも危害を与えず何の法律違反もしていないのに、単に特定の宗教的や精神性に基づく観点があるという理由から刑期を下されています。

これらの囚人は誤って囚人と分類されたわけで、臓器提供者にはなりえません。そしてこれらの人々が臓器提供者になっていないことを裏付ける理由は存在しません。このように道徳的に受け入れられない状況が起こっているのです。

また、私の見解では、法治制度が麻痺し、腐敗した制度の下では、囚人が死後の臓器提供に同意することは不可能です。しかし、中国では囚人が同意したと主張しているようです。何の理由で処刑されたか分からない囚人が、死後の臓器提供に自発的に同意しているというのは、馬鹿げた話です。

自発的な同意を得ることはほとんど不可能であり、刑務所内での死後の献体は、強制的であり搾取するものです。

自発的な同意を得ることは、どのような刑務所の制度においても不可能です。環境が本質的に強制的であるため、囚人へのプレッシャーがあるからです。

1)中国の制度で囚人とみなされている人たちは囚人ではない。

2)刑務所、監獄、収容所では、死亡した後に臓器を提供する自発的な合意は得られない。

以上の2点を考え合わせてください。中国における臓器移植の安定成長に、これらの人々から摘出された臓器が今でも大きな役割を果たしています。

多少の改革は行われました。しかし依然として中国は道徳にもとる制度に依存しています。たとえ一部でも、囚人の臓器が臓器移植制度を支えるようなことがあってはなりません。彼らの同意は形だけに過ぎないからです。

私たちは、中国での臓器提供や臓器調達に対するさらなる改革と犠牲になる可能性のある人々への保護のためにプレッシャーをかけ続けるべき状況に置かれています。

適切な改革が行われない限り、中国の医療・科学における移植医療を国際社会で受け入れることはできません。

ご視聴ありがとうございました。

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2.Jaime Cesar Naranjo Ortiz

サイメ・セサル・ナランホ・オルチス

チリ:国会議員

チリの農学者、学者、政治家。社会党の国会議員。元代議院副議長、元上院副議長。国家人権賞、フランス大統領からレジオン・ドヌール勲章、ユダヤ人社会から「光と記憶」(Light and Memory)賞など、数多く受賞。

【日本語訳】

あらゆる医療介入における倫理的な基盤として「同意」が存在します。

国際的な倫理基準に従って、細胞・組織・臓器提供の「同意」を取得し記録する手続きを定めることは、各国の責務です。

ドナー候補者の死亡判定をする医師が、ドナーからの細胞、組織、臓器の摘出や移植手術に直接関与すべきではありません。その細胞、組織、臓器を移植される予定のレシピエントのケアにも関与すべきではありません。

人体臓器の売買は、人間の尊厳と生存権を侵害し、一般の安寧を深刻に脅かすものです。臓器売買を根絶するためには、国内法および国際法が、生体または死亡したドナーからの臓器の不正摘出を犯罪として処罰し、摘出・没収・押収を規制すること、そして国際的な協力が必要不可欠です。

死体・生体ドナーの臓器が、病人や瀕死の人々に移植されるようになったのは、第二次世界大戦後のことです。この50年間で、人間の細胞、組織、臓器の移植は世界中で行われるようになり、数十万の人々の延命、生活の質の大幅な向上へとつながりました。

医療技術の不断の向上、特に組織や臓器の拒絶反応への処置が改善されたおかげで、死亡者からの臓器提供や生存者からの臓器提供の数は近年、著しく増加しました。それにもかかわらず、移植希望者の需要が常に供給を上回っている状況です。

移植用臓器の不足は、多くの国で臓器源を確保するための手順や制度を発展させただけでなく、営利目的の臓器売買を活発にしました。特に血縁関係のない生体ドナーを対象とします。この違法な臓器売買とそれに伴う人身売買を裏付ける証拠は、ここ数十年でより明白になってきています。

中国の事例を見てみましょう。国際移植学会は、「囚人から臓器提供の自由意思を得ることは不可能であるため、死刑制度のある国で囚人の臓器を利用することは医療倫理に反する」と規定しています。中国本土で死刑囚の臓器が用いられている事実から、多くの医学会の専門家は中国の臓器移植制度を疑問視しています。

2015年、国際機関は中国の6つの病院を視察しましたが、すべて事前に予定されていたもので、視察した機関はいずれも移植が頻繁に行われている施設ではありませんでした。

2016年7月、複数の調査者による報告書で、中国での移植件数は6万から10万件と推定され、中国政権が主張する1万件とはかけ離れた数字であることが明らかになりました。

同報告書では、年間移植数に関してのこの大差は「死刑囚の臓器で埋められており、その多くは宗教的、政治的信条のために投獄された良心の囚人である」と結論づけています。

移植医療の専門家は、中国が2014年に囚人からの臓器摘出を停止すると公言したにもかかわらず、現在も臓器収奪は止まっていないと主張しています。国連の専門家は、中国での臓器摘出を非難しています。彼らは国連からの委任を受けてはいますが、機関を代表して発言しているわけではありません。入手可能な情報から現状を非常に憂慮していると発表しています。

これらの専門家が受け取った報告によると、受刑者から最も多く摘出されている臓器は、心臓、腎臓、肝臓、角膜、時には肝臓の一部です。

長年にわたり、法輪功メンバーは、中国が投獄されたメンバーから強制的に臓器を摘出していると非難してきました。人が死んだら遺体を傷つけることなく埋葬することが中国の伝統なので、臓器の摘出を受け入れる中国人は非常に少ないのです。しかし、中国政府は、常にこれらの非難を強く否定してきました。

中国における生体臓器収奪は、拘束された民族、言語、宗教の少数民族のメンバーが対象とされているようで、逮捕理由の説明も逮捕状もなく任意に拘束されていると、これらの人権専門家は指摘しています。また、この問題は2006年から今日まで、国連の人権専門家が中国政府に提起してきましたが、何の成果も得られなかったと指摘しています。

中国当局はこれらの疑惑を繰り返し否定し、国連の人権専門家が自国を誹謗中傷していると非難しています。さらに、これらの人権専門家は判断力と初歩的な論拠に欠けており、反中国分離主義勢力と法輪功運動からの捏造された情報に陥ってしまっていると主張しています。

国際的な臓器売買、特に特定の国で起きている人権侵害を防ぐために、私たちは以下を提案します。

  1. 国際社会、特に国連は、人権高等弁務官を通じて、中国に使節団を派遣し、生体臓器収奪の状況を調査する。
  2. 世界保健機関は、中国の衛生当局を監視し、ヒトの細胞、組織、臓器の移植に関する指導原則を遵守しているかを確証する。
  3. 国際社会は、2015年3月にサンティアゴ・デ・コンポステーラで開かれた欧州評議会による「ヒトの臓器売買禁止条約」に署名・批准するために国連加盟国に推進する。臓器売買を撲滅する闘いに焦点を当てた、最初の拘束力のある国際的な条約である。
  4. この「ヒトの臓器売買禁止条約」は、批准国に対し、生きている人間および死亡した人間から、(合意なく)臓器摘出を故意に行った場合、国内法の下で犯罪とするように義務づけている。
  5. 臓器摘出と人身売買の犯罪を訴追するために、捜査、送還、没収、押収の面で国際的な協力を促進する。
  6. 各国の議会が、世界、特に中国におけるヒトの臓器や組織の不正な摘出・売買を非難する決議を通過させるよう奨励する。
  7. 世界宣言の採択を奨励する。近年、我々は臓器の違法売買などを目にしているが、国際社会は無関心でいることはできない。人々の権利、基本的人権とは、人間の尊厳を尊重することである。

これ以上、黙っていることはできません。国際的な場で、特に中国で違法な臓器売買が起こっていることを見て見ぬふりはできません。だからこそ、私たちは、今、直面する厳しい闘いに打ち勝つために、共に行動しなければならないのです。

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3. Elisabetta Zamparutti

エリザベッタ・ザムパルティー

イタリア:弁護士および欧州評議会の拷問防止委員会(CPT)メンバー

元イタリア国会議員、世界の死刑廃止を目指すNGO「ハンズオフ・カイン」会計責任者、世界の刑務所の状況を情報収集するNGO「プリズン・インサイダー」理事。刑務所の状況や被拘禁者の処遇を監視する専門家とされる。

【日本語訳】

英語のtorture(拷問)は、ラテン語のtortus(間違っている/曲がっている)から派生しています。宗教・民族・言語の特定グループの囚人から臓器を収奪する中国の現状を見聞きし理解することで、中国は法治国家ではなく、拷問という「間違った」掟を基盤とする国だと私は断定します。生命・完全な身体・完全な精神性・自由などの基本的な権利、つまり侵すことのできない理念が、この権威・全体主義体制政権、間違った国家によって、組織的に侵害されています。中国では不正、違法行為、拷問が蔓延しています。臓器収奪に関わる想像を絶する残虐行為は容認すべきではありません。拘束された人々、既に自由を奪われている人々が一切保護されることなく、国家の手中で自分の意思に反して不可欠臓器を摘出されているのです。宗教・自己の良心に従う生き方・考え方、あるいは特定の民族・言語グループに属しているという理由で拘束された人々も対象となっています。

臓器収奪は「産業」と定義できる側面があります。組織的に利潤のために広域にわたり行われており、人の安寧を第一にすべき医療従事者(具体的に医師、外科医、麻酔科医、看護師)がこの地獄のメカニズム、非人道的なメカニズムの一部になっています。そして臓器収奪を行う中国と我々が、一層緊密で強固な関係を築いていることを人間として恥ずかしく思うべきです。国際社会、また国際社会だけでなくあらゆる機関からの介入が求められています。特に、国連の拷問に関する特別報告者(現職者と前職者)が介入したことは重要です。また、「中国(臓器収奪)民衆法廷」(旧ユーゴスラビアでの「人道に対する罪」に関する刑事裁判の検察を率いたジェフリー卿が議長)が中国の臓器収奪を「人道に対する罪」と定義した事実も助けとなっています。これほど広範で容認すべきではない「臓器収奪」の定義として最も適切な言葉だと思います。

民衆法廷では、この種の囚人が、血液検査やその他の臓器検査を強制され、臓器摘出に利用されるデータベースに入力されているという文書を入手しました。心臓、角膜、時には肝臓も摘出されました。犠牲者の家族に遺体を戻される機会も権利も与えられていません。

この地獄絵に対して、私たちは、人権保護に取り組む組織として、個人として、機関として、動く必要があります。全ての市民そして国際機関が動く必要があります。国連の介入に触れましたが、世界保健機関(WHO)、欧州評議会、欧州議会など、介入できるすべての機関に対して、特に中国との協力がないように、保健担当者とのわずかな協力もないように、訴えていく必要があります。この重大な問題は、中国政権との二国間または多国間の話し合いで優先課題にすべきです。人類の恥ずべき事態を前にして、私たちもまた、この状況を変えるために何ができるかを自問しなければなりません。

私はまた、「ハンズ・オフ・ケイン」Nessuno Tocchi Caino(Hands Off Cain)というNGOのメンバーでもあります。この団体は、法輪功側に立って闘うだけでなく、死刑制度廃止のために国際的に闘っています。国連総会で世界共有の死刑モラトリアム(死刑廃止を目指して死刑を一時停止すること)が宣言されることを達成しました。

このスタンスに立ち、中国での死刑執行数が制限されるように要求しています。しかし、臓器収奪のような隠れた死刑執行は続いています。私たちに何ができるのでしょうか? この「人道に対する罪」を世界で認識された世論としていき、意識を高めることが重要です。また中国政権が意識を高め、変化していくよう助けることも大切です。私たちは現状を監視し把握する必要があります。この「人道に対する罪」への国際的な調査、つまり国際機関のオブザーバーが中国を訪れて何が起こっているかを確認することを、中国が認めるよう圧力をかけていくことが肝要です。

広範囲の人々に認識してもらい、意識を高めていく過程には、知識が必要です。国際的なプレッシャーにより、少なくとも中国は2015年に新たな法規を導入し、自発的臓器提供の合意の上で病院のみで臓器が入手できるように定めました。

しかし、臓器摘出はこの領域だけに限られていないことを私たちは把握しています。囚人からの臓器収奪が行われていることを私たちは把握しています。生存中の拘束者から臓器摘出が行われているという報告書は、私にとって衝撃的でした。特に精神修養法である法輪功を修めたために拘束された人々が対象です。

これら全てが広く認識される必要があります。最終的には、法輪功の理念である「真・善・忍」が活動の拠り所となることでしょう。この闘いに挑む際に、「真・善・忍」を心に刻み、その中で強くなる必要があります。

NGO「ハンズ・オフ・ケイン」は「望みを持ち得ない状況で希望を持つ」Spes contra spem(hope against all odds)という言葉を名称に加えました。聖書の使徒パウロによる「ローマ人への手紙」の中の非暴力の言及です。全てに望みがないと思われるその瞬間、世界で実現すべき希望を具現化しなければならない、という内容です。私たちは中国を変える必要があります。変えることは可能です。中国政権が抹消しようとする「真・善・忍」を私たちが修めれば、中国を変えることができます。法輪功を修める人々が不正に投獄され、手荒く扱われ、不可欠臓器の摘出の過程で殺害されています。中国政権が「真・善・忍」を抹消しようとしているからです。

皆様のご尽力に感謝しております。人権擁護者として、拷問や非人道的・屈辱的な扱いを停止することに取り組む個人として、いつでもお役に立ちたいと思っております。この意味で「真・善・忍」の理念のもとで、意識を高めていくために広く伝える活動をしていきます。

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4. Krzysztof Loziński

シシュトフ・ウォジンスキ

ポーランド:ジャーナリスト

ポーランドの政治家、人権擁護の活動家。1960年代からファシズム・共産主義を糾弾。

「連帯」運動のリーダーであったため、人権擁護の活動家として15年間獄中にあった。著名なジャーナリスト、編集長、写真家、作家、登山家としても知られる。

【日本語訳】

ここでとりあげられている問題の根底に、無関心の問題があります。西側世界の多くの人々、特に政治家、ビジネスマン、有名人、研究者、学者、そして一般の人々が何の反応も示さないのです。中国政権の残虐行為に対して何もなされていません。もちろん、そのような残虐行為を知りながら、何も行動せず、むしろ手を貸すような人々も一定数存在します。しかし、そのような人たちは取るに足らない存在ですので、放っておきましょう。

世界には、犯罪の事実を知り、しっかりとした情報さえあれば、人権擁護に尽力し、犯罪に対して行動を起こす人々がたくさんいます。しかし、中国人に関して欧米人が持っている知識はきわめて狭く、誤っていることさえあります。

教育全般において、歴史教育の大半、政治教育においても、欧米の文明の問題や歴史ばかりが教えられています。中国史についてはほとんど何も教えられていません。中国が長年にわたって孤立していたためではなく、我々が無関心であったためなのです。

これこそが解決すべき問題です。

シャーリー・マクレーンの著名な演説を引用します。「中国で最も素晴らしいことは毛沢東の統治下で起きました。」シャーリー・マクレーンは中国について何を知っていたのでしょうか?彼女は何も知らなかったか、虚偽の情報しか得ていなかったのでしょうか?

世界でも最悪の犯罪者の治世を幸福な時代とすることは私たちにとっては驚きですが、シャーリー・マクレーンはこのように思ったのでしょう。

このような問題に対して、何ができるでしょうか?まずこのテーマについてもっと教育が必要です。誰よりもまず教育されるべき者は、人々に知識を伝える仕事をする人たち、つまりジャーナリストです。記事を書くのはジャーナリストです。テレビ等のメディアで情報を伝えるのもジャーナリストです。テーマについて知っていれば、事実に即した情報を提供します。知らないとしても、間違った知識に基づくニュースを伝えるべきではありません。

子供の頃から法の支配の下で民主主義の自由な国で暮らしている人は、独裁の本質が分かっていません。これは重要な点です。彼らは独裁政権の現実というものを理解していません。

独裁者は何でもできるということが人々にとってどれほど危険であるか、理解していないのです。独裁者には制限も制約もありません。独裁者の行動を制約する機関がないのです。

独裁者には顧問もいません。独裁者には追従者がいるだけです。

独裁者が求めるのは称賛だけです。独裁者が何をしようとも、追従者は独裁者がすることは全て最高だと言います。独裁者が本当に悪いことをしたとしても、本当に良いことをしていると称賛します。そのため、独裁者は「非常にうまく」やったなら、もっとやるべきだと考えるのです。

民主主義国家は真逆です。

言論の自由、メディアの自由、報道の自由がある民主主義国家では、政府が何か間違ったことをすれば、メディアが即座に警報を鳴らし、社会から間違ったことをしていると警告が発せられます。

独裁国家はその逆です。すべての独裁国家に共通していることですが、独裁国家では、無実の人は何も恐れることはないという嘘がよく見受けられます。しかし、独裁者の気まぐれで最も苦しむのは、無実の人々に他なりません。

毛沢東の治世を例にとってみましょう。毛沢東のキャンペーン「虎は大きく跳躍する」、別名「大躍進」運動は、3年間で少なくとも4500万人を餓死させる結果となりました。公表された資料に基づいて分かっているだけで、4500万人です。実際にはこれよりはるかに多い可能性が高く、歴史家は6400万人と推定しています。

どうしてこのようなことになったのでしょうか?中央集権化と集団化の2点が理由です。毛沢東は自国民を餓死させたかったわけではありません。彼は鉄鋼生産でイギリスを追い越したかったのです。彼は短期間で強い経済を構築したかったのですが、それはまったく不可能なことでした。それでも各県、各州は成果を出さなければならないような仕組みになっていたのです。役人たちは成果を示さなければなりませんでした。もし成果を示すことができなければ、壁の前に立たされて銃殺されたからです。

だから、皆、誇大な報告をしました。穀物の生産量も誇大に報告され、その生産量をもとに党の中央組織が徴収する作物の量を決めました。その結果、村の食料はすべて没収されたわけです。実に単純な話です。無実の人が最も被害を被るという一例であり、このような例は枚挙に暇がありません。

中国ではなぜ臓器収奪のような恐ろしいことが行われているのでしょうか?犠牲者の大半は法輪功コミュニティーの人々であり、政治に関与していない一般市民ですが、その腎臓や心臓が売れると分かり、拉致され殺害されてきたのです。

独裁国家は人間を市民としてではなく、道具として扱います。独裁者にとっては自らの目標を実現するための道具なのです。市民権も人権もありません。

人間は大衆の一部なのですが、共産主義体制において議題に上がるのは大衆であって、人間ではありません。だからこそ、このような扱いが可能なのです。

スターリンの有名な言葉を引用します。「我が国の人口は無数だ。死んでも他にいくらでもいる。」独裁者にとって、人間は資源に過ぎないのです。

このような残虐行為を前にしてどのような態度を取るかは、人によって下記のように様々です。

1)私の知ったことではない。私には関係ない。興味もない。そんなことに関わり合いを持たず、煩わされずに静かに暮らしたい。

2)逃げよう。この国から脱出し、逃げ去り、人目を避けて隠れよう。

3)闘おう。闘うことには困難と犠牲を伴います。あらゆる弾圧に直面する可能性は高く、非常に危険な目にも遭うこともあるだろう。

そこで、自由な国の人々に質問を投げかけてみたいと思います。私たちは民主主義国家で暮らし、自分たちの政府を選び、幸福と富を手に入れ、言論の自由があり、言いたいことを言い、好きなところへ旅行することができます。好きなスポーツをすることもできます。独裁国家では選べません。私の育った東ドイツでは、どのスポーツをすべきか学校から言われました。強制であり選択肢はありませんでした。

では、誰のおかげで、自由な社会があるのでしょうか? 私生活に逃げ込んだ人たちでしょうか?いいえ。服従することなく、自らの姿勢を貫いた人たちです。犠牲になってくれたのはその人たちです。私たちが今平和に暮らせるのは、その人たちが命懸けで自らを犠牲にしてくれたおかげなのです。もちろん、そのような姿勢を貫くのは容易なことではありません。勇気をもって信念を貫くとき、様々な形で自らの生活が犠牲にされます。

それがどれほどの犠牲であるかは、経験した人にしか分かりません。世界を前進させるのは誰でしょうか?服従しない人たち、大衆を守る人たちに他なりません。皆と同じように行動している人が新しいものを創造したことはありません。そのことを心に刻む必要があります。

最後に、ヴワディスワフ・バルトシェフスキの名言をご紹介します。彼はポーランドの歴史家であり、ジャーナリストであり、そしてアウシュビッツの生存者で、ワルシャワ蜂起にも参加した人です。

「道徳を貫くことで報われた。」

ここでは、こう言い換えたいです。「抵抗することで報われる。」

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5. Thomas Rohden

トーマス・ローデン

デンマーク:  デンマークの中国批評家協会会長、人権活動家

コペンハーゲン大学政治学部在学。香港の民主的な反体制派を支援し、中国による人権侵害と闘う人道的な擁護活動で知られる。

【日本語訳】

私はグレーター・エリア・オブ・コペンハーゲン(コペンハーゲン首都圏)の議会議員に立候補しています。コペンハーゲン首都圏は中国と友好協定を結んでいます。これは少し偽善的なものだと私は考えています。

何故ならコペンハーゲン首都圏は国連開発目標の推進地域でもあり、常に世界で最善を尽くそうと努力しているからです。

しかし、常にこの世界をより良くするために働き、正しいことを行い、世界をより良い方向に導くための努力をする一方で、中国と友好協定を結び、この政権と仲睦まじく友好を語り、この世界をより良くするために力を合わせようというのでは、筋が通りません。

中国の政権はこの世界を良くしているどころか、この世界に対して悪事を働いているからです。

コペンハーゲン首都圏の議会議員に選出されれば、私はまず中国との友好協定の全廃を提案し、二度とそのような間違った方向に行かないようにするつもりです。

人権を信じ、発展を信じ、人類の平等を信じるコペンハーゲン首都圏としては、ウイグル人に対してジェノサイドを行い、香港人を弾圧し、法輪功から臓器を盗むような国と友好関係を持つことはできないからです。

これは非常に暗く重いテーマではありますが、今日はポジティブなことを一点指摘します。

私の世代に、新たな政治的信念が生まれてきています。それを私は肌で感じています。

もし中国に製品を売るためには中国の行動について真実を口にしてはならないということであれば、私たちは中国に製品を売るつもりはありません。

私たち自身の魂を売り渡すことになるからです。

この点で今世界はより良い方向へ動き始めていると思われます。特に欧州諸国はこれまで出遅れていましたが、中国政権に対して「この世界でのあなた方の振る舞いは許せない」「あなた方が国際社会を破壊していること、そして自国民を虐待していることは容認できない」と、声を上げるようになるでしょう。

このシンポジウムは非常に重要だと思います。何故ならここでは「真実」が語られているからです。中国政府が最も恐れていることです。「真実」は計り知れない大きな力を持っています。

「真実」が、独裁政権を倒して権力の座から引きずり下ろすことがよくあるからです。

ですから最後に言いたいことは、皆さん、たゆむことなく中国共産党に立ち向かって下さい。中国がウイグル人に臓器提供を強要し、臓器を盗んで市場で売るために人々を殺していること、そして中国政権が人々から尊厳を奪って人間性を破壊していることについて、「真実」を伝え続けてください。

中国政権が最も恐れているのは、私たちが日々、立ち上がり、彼らがこの世界に対して行っている恐ろしいことについて「真実」を伝えることです。

発言の機会をいただき、誠にありがとうございました。自由と人間の尊厳のために毅然として戦い続けましょう。

本日はお話しすることができて光栄でした。

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6. Debra Holbrook

デブラ・ホルブルック

米国:MSN, RN, FNE-A/P, SANE-A, DF-AFN, FAAN, 法医学看護師アカデミー

集中治療の看護師。米国司法省・国防省の法医学看護学に関する専門家。米国のモデルとなった法医学看護師試験官用のプログラムを設立(2002年、米国上院)。法案に関して米議会や上院の「犯罪・薬物小委員会」で証言し、のちにDNA Justice Act(DNA司法法)となった。アメリカ看護アカデミーのフェロー。国際的な賞を数多く受賞。米国ボルチモアで暴力被害者へのケアを調整するマーシー・メディカル・センターの法医学看護部長代理。

【日本語訳】

こんにちは。お招きいただきありがとうございます。私は正看護師で、法医学看護とアメリカ看護アカデミー(フェロー)の二つの機関に認定されています。法医学看護師は、生体臓器収奪に反対する国際的な動きを支持しています。生体臓器収奪は最も悪質な人身売買の一形態であり、私たち法医学看護師には、こうした行為がどこで行われていようと、それを廃止するためのあらゆる努力を支援する責任と義務があります。

生体臓器収奪は、命を救おうという情熱に駆られた医師や看護師によって行われているのではなく、営利目的でのみ行われており、「人道に対する罪」です。看護師として、私たちはヒポクラテスの誓いを立て、自己の職業に誠実であり、有害で傷つく行為を避け、仕事の水準を維持・向上させ、患者の福祉のために献身しています。私たちは看護師として、生体臓器収奪をいかなる形であれ援助することを選択した看護師に対して立ち向かいます。

看護師は、生体臓器収奪が違法とされている地域社会においても、力を発揮することができます。米国メリーランド州ボルチモアで、私は60以上の連邦・州・地方の機関および提携機関を13の病院の制度と連携させ、あらゆる形態の人身売買の被害者をスクリーニングするための組織の結成を助けました。関係機関には、司法長官室、米国連邦検事局、メリーランド州弁護士団、連邦捜査局、国土安全保障省、州・地域の法執行機関、医師、看護師、擁護支持者、コミュニティ関係者、選出議員や州・地域の政府関係者が含まれています。

私たちは、人身売買に関する意識向上キャンペーンを行うパートナーシップを構築し、「青い点」(blue dots)システムとして知られる受け入れ拠点で、被害者を救出・救済するための計画を立てました。人身売買の犯罪に関わる患者を選別する際に、私たちは相互に責任を持ち、あらゆる形態の人身売買に対して統合された対応をとっています。私たちは、トラウマに配慮し、人身売買犯罪の被害者を非難せず、犯罪者の責任を追及する法律を制定・強化しました。

私は人身売買に関する医療分科会の設立に取り組み、ジョンズ・ホプキンスなどの13の病院システムに参加し、機関・部門の垣根を取り除いてきました。具体的には、医療看護やヘルスケア・スタッフのためにスクリーニング方針とトレーニングを生み出し、患者を保護する拠点としての「青い点」での対応を受け入れ、営利を問わず被害者を優先してきました。

私たちは、生体臓器収奪を人身売買の犯罪リストに加え、合法的に入手した臓器移植の待機者リストから突然海外に渡航する計画を立てる患者を注意深く見守るなど、病院内での意識を生み出しました。これらの患者が臓器収奪市場を永続させる可能性を警告するからです。違法な生体臓器収奪のためにこれらの患者の出国手続きに関与する可能性のある医療従事者を探し、彼らの訴追を支援するために戦っていきます。

数の面で、看護師には力があります。また道徳的・倫理的義務も負っています。医療従事者として互いに責務を担い、生体臓器収奪が世界で廃止されなければならないことを仲間だけでなく地域社会にも啓蒙していきます。世界市民として、私たちは皆、この犯罪の潜在的な犠牲者です。この行為を違法としていない国に渡航するとき、この犯罪の被害者となる可能性があるのです。誰が生きるに値し、誰が生きるに値しないかを決定する権限は、誰にもありません。

法医学看護師アカデミーは、学識、教育、トラウマに陥っている人々や対応している人々への支援を通じて、調査を実践に結びつけることを使命としています。本アカデミーは、生体臓器収奪などあらゆる形態の人身売買を廃止するための立法と実践を世界で展開し、パートナーシップを構築し、人権を推進する統合的な声を世界にわたって上げていくことに尽力しています。看護師としてだけでなく世界市民として、たとえ牽制できなくても、国際的な意識の最前線に立って人々を保護する道徳的・倫理的な義務を負っているのです。生体臓器収奪は、性的売買や強制労働といった他の形態の人身売買と同類です。臓器売買が合法化されていない国では、営利目的のために行われる内密の行為となっています。

法医学看護師は、今こそ、世界の医師、看護師、すべての医療従事者が足並みをそろえて、生体臓器収奪を廃止するときだと固く信じています。臓器収奪を含むあらゆる形態の人身売買を停止するために、自分達の地域社会・病院を起点とし、看護師・医療提供者として互いに責任を持ち統一した立場を取り、すべての命を尊重し、それぞれがヒポクラテスの誓いを守り、国会議員や世界のリーダーたちに啓蒙していきます。

皆様のご尽力に感謝しています。

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7. David Curtis

デービッド・カーティス

英国:MA, MBBS, MD, PhD, FRCPsych,  UCL遺伝学研究所 名誉教授

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)遺伝学研究所およびロンドン大学クイーンメアリー校の精神医学センターの名誉教授。現在、遺伝子研究と、精神疾患の危険因子の特定にフルタイムで従事。「Annals of Human Genetics」という遺伝学の科学雑誌の元編集長。中国での臓器収奪を含む人権侵害に利用されている大量のDNA収集に加担してしまわないように、中国からの論文投稿を拒否した。

【日本語訳】

私はイギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで遺伝学の研究をしています。また、最近まで「Annals of Human Genetics」という遺伝学の科学雑誌の編集者でもありました。今日は特に、臓器収奪に関連して懸念される、特定の遺伝学的側面についてお話したいと思います。

私が言いたいのは、3つのことが起こっているということです。

1つ目は、生体臓器収奪が行われていることです。

2つ目は、恣意的な逮捕、拘留、時には失踪が、司法手続きなしに行われていることです。

3つ目は、最近のことですが、集団検査、集団遺伝子検査が、全住民、少数民族、特定の地域に対して行われていることです。時には医療検査が行われ、血液のサンプルが採られます。このようなサンプルからDNAを採集し、DNAの様々なマーカーや変異を検査することができるのです。

これら3つのことが起こっていることは確認されています。

今日特にお話ししたいのは、これら3点から、中国当局は何ができるようになるか、ということです。

DNAで何が行われているのかがはっきりしない、誰も公式に認めていない、何が起こっているのか分かっているけれど目的がはっきりしない、何のために使うのか、などの懸念が指摘されてきましたが、これらには触れません。

しかし、DNAを使えば、欧米では、臓器移植や組織移植のドナーにふさわしい人を特定することができます。

欧米では自発的に行われます。骨髄移植が必要な場合、ドナーを希望する方に血液サンプルの提供を募ります。そのサンプルからDNAが抽出され、骨髄移植を必要とする人のドナーとしてふさわしいかどうかを検査します。ふさわしいと判断されれば、サンプルを提供した人に連絡が入り、ボランティアとなります。その時点でドナーになるかどうか選択できます。

私たちが提供したDNAは、リポジトリライブラリーに、提供者の同意のもとで保管されます。将来、誰かが、骨髄移植が必要になった場合、その人の血液サンプルをライブラリ内のデータと照合し、適切なドナーを見つけることができます。これは日常行われていることです。

さて、今日申し上げたいのは、証拠はありませんが、このようなことが今中国で起こっている可能性があるということです。

そして、起こっていない可能性は、まず、考えられません。

すべての人々からDNAを採取するためのサンプルを集めている政権があるのです。彼らは人々を逮捕し、拘留することに何のためらいもありません。何のためらいもなく生体臓器収奪も行っています。私が指摘したいのは、このプロセスがもたらす他に類を見ない恐ろしい側面です。

以前、生体臓器収奪は処刑された囚人が対象であり、その後、有罪判決を受けた囚人が対象になると言われていました。そして、おそらく有罪判決を受けたことのない囚人や、何の理由もなく拘留された人々にも行われてきたことでしょう。

つまり、中国当局は、誰かが移植を必要とする場合、骨髄移植であっても心臓や腎臓や肺であっても移植を必要とする場合、当局のDNAバンクを調べ、適切なドナーを特定することができます。ドナーは有罪判決を受けた囚人である必要はありません。拘束されている必要もありません。道端を歩いている時や通勤中、通学中、勤務中、あるいは自宅から拘束され、2度と姿を見せなくなります。移植希望者に適合する臓器の保有者だったからです。

つまり、ある意味で、これは全人口を臓器ドナー候補者の家畜場とする可能性を秘めているのです。申し上げました通り、実際に起こっていることを示す証拠はありません。生体臓器収奪が行われているという証拠は少しありますし、恣意的な拘束や人々が姿を消しているという証拠もあります。また、大規模なDNA収集が行われている証拠もあります。

このような可能性を目の前にして、中国当局が実行しない理由はあるでしょうか?

もしあなたが中国で権力を握っていて、腎臓移植を必要とする有力な党員がいたら?チベット人であろうと、収監者であろうと、ウイグル人であろうと、とにかく誰か良いドナーになりそうな人を探して、自分達にとって価値ある重要人物のために、臓器を収奪しない理由はあるでしょうか?

私が主に指摘したいこと、私が懸念していることです。臓器収奪問題に遺伝学的な側面が新たに加わったと思います。

そして、この問題に対して私たちは何ができるのでしょうか?私が「Annals of Human Genetics」の編集長を辞めた理由もここにあります。

中国の行動に影響を与える方法はあると思います。

もし私が説明したようなことが行われているとしたら、これは公安や警察、兵士、機密警察だけが関わっているのではないと思います。このようなことが行われるには、医師、科学者、遺伝子科学者、その他多くの人の関与が必要です。1人や2人でなく、科学や医療の専門家のネットワーク全体が加担している必要があります。

中国のすべての医師や科学者が、このようなことが行われていると認識しているわけではありませんが、ある意味、責任所在が不明です。イギリスで誰かがこのようなことをしようとしたら、英国医事委員会(GMC)が黙っておらず、医師は刑務所に入れられることでしょう。

中国ではそのようなことはありません。人々は何が起こっているのか知りませんし、知るためのメカニズムもありません。また、「自分たちには倫理的基準があるので、国家がやりたいことに反しても貫き通します」と国家に主張できるようなメカニズムもありません。

ですから、中国の科学界や医学界は、このようなプロセスに機関として関与していると思います。編集者として、私は中国の科学者から自分の雑誌に投稿されたものを見てきました。誰かはわかりませんが、自分達の研究を私が編集する雑誌に投稿したいというものです。私の中で違和感が募りました。科学界や医療界が進んでこのような行為を受け入れる状況下で、科学者たちが倫理的な方法で研究を行ったと言えるのでしょうか?

そして、決して大きなステップではありませんが、問題提起させてください。こうしなければならないと言っているわけではありません。

しかし、医療科学の専門家として、中国との協力関係をもっと正式にボイコットすべきではないでしょうか?

科学雑誌は中国からの投稿を考慮しないという意味です。中国人医師や中国人科学者からの投稿です。「あなたの医療界はこれらの行為に加担しています。あなた個人に対してではなく、私たちはあなた方を同僚とみなしません。あなた方は私たちと同じ倫理で研究されているとはいえません。また、倫理的に研究されているというあなたの言葉を鵜呑みにするつもりもありません。私たちのジャーナルにあなた方の投稿を掲載することはありません。」と明示すべきです。

中国の医師、科学者は、心底、欧米の専門雑誌で自分の研究を発表したいのです。キャリアに欠かせないことだからです。中国以外の国々で科学界がこのようなアプローチをとれば、大きな波紋を呼ぶこととなるでしょう。

この方法で、2つのことが実現できると思います。一般的なプレッシャーをかけること、そして情報を提示することです。論文を送ってくる個々の科学者は、実際に何が起こっているかを知りません。しかし、もし雑誌の編集者が「中国での深刻な人権侵害のため、あなたの投稿は考慮しません」という拒絶の手紙を出せば、個人的にメッセージを伝えることとなり、中国の専門家の間でも認識を高め始める可能性となります。

今日、私が言いたかったことは以下の2点です。

一つ目は、DNAの大量収集によって、生体臓器収奪の対象が、すでに拘束されている人たちだけでなく、自宅や街中の一般人にも拡張していることへの懸念です。

二つ目は、中国の医師や科学者が組織レベルで生体臓器収奪に加担していることが示唆されている事実を踏まえて、欧米社会が、特に医師や科学者の間で、より正式な専門家によるボイコットをすべき時がきているということです。

ご清聴ありがとうございました。

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