臓器取引を抑制する法案 全会一致で議決=カナダ下院委員会

臓器取引を抑制する法案 全会一致で議決=カナダ下院委員会

カナダ議会で、臓器取引の抑制のための法案可決に向けて動く保守党ガーネット・ジェニュイス議員(NTD)

カナダ下院の外交・国際発展常設委員会は2月27日、人道性が疑われる国際的な臓器取引を抑制する修正法案S-240を全会一致で議決した。

S-240法案は、刑法と移民法に関連する。刑法では、カナダ人が海外渡航先で臓器提供(ドナー)側の同意が証明されないまま移植手術を受けることを刑罰対象とする。また、非人道性が疑われる臓器の強制奪取に関わった人物が、カナダに移民または難民として入国することを禁止する。

S-240法案は、すでに2018年10月に上院を通過しており、今後は下院議会の最終読会に提出される。両院可決に向けて働きかける保守党のガーネット・ジェニュイス(Gernett Genuis)議員は「中国では政治的な理由で拘束されている人々が生きたまま臓器を摘出されている。カナダの法案はこの状況に対応するものだ」

ジュニュイス議員によると、カナダでは異なる政党の議員らがこの十年以上にわたり、同類の法案を4回提案しているが、両院可決には至らなかった。同議員は、今回の成立を強く期待している。

リベラル派の自由党議員、ボーリス・フシスネブスキー(Borys Wrzesnewskyj)氏は、同国デービッド・マタス弁護士とデービッド・キルガー元閣僚の功績を称える。両氏は2006年に発表した調査報告「中国臓器狩り」で、中国当局が無実の罪で収監された人々から臓器を摘出していると結論付けた。両氏は、中国移植病院や衛生部(厚生労働省)の資料、元収監者や元病院関係者らの証言などを元に軍部、衛生部、病院、政府当局が連携する大規模で系統的な臓器収奪があると推測している。

報告書では、法輪功学習者、チベット民族、ウイグル族、政治異見者などが主な犠牲者だという。新疆の収容施設に入所していたカザフスタン籍の男性は2018年12月、英ロンドンで開かれた人民法廷で、中国共産党当局による臓器収奪問題はカザフスタンにいても「嫌というほど耳に入ってくる」と証言した。

すべての政党、両院の支持を得る希少な法案

ボーリス議員は委員会で「第二次世界大戦以後、私たちは、中国政権が行っている産業規模ほどの非人間的な恐怖を見たことがない」と述べた。

ボーリス議員はまた、S-240法案はすべての政党、両院から支持を得るという希少な事例であり「国会と国会議員は、それぞれ非常に重要な役割を果たした」と述べた。

カナダでは、次の連邦議会選挙が10月に行われる。社会主義派の新民主党トレイシー・ラムセイ議員は委員会で、法案の早期通過を望むと述べた。「私たちは、世界の臓器取引のせいで人々が虐待され、搾取され、おぞましい扱いを受けることに強く反対する」と述べた。

委員会では、マタス弁護士は電話を通じて意見を述べた。同弁護士は、同様の法案を可決した国では、臓器の違法取引がある中国への移植渡航防止において劇的な改善が見られたという。「イスラエルでは(中国移植渡航が)一般的だったが、いまは完全に消滅するに至っている」

移植渡航を違法あるいは抑制する法案を可決した国は、台湾、スペイン、イタリア、ノルウェーなどがある。日本では2月10日現在までで、73の県市町村議会で意見書が中央政府に提出されている。

(編集・佐渡道世)

(転載:https://www.epochtimes.jp/2019/03/40832.html

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