中国ドナーの情報「ブローカーから知らされない」日本患者は危険性知らず、作家が証言

Share on facebook
Share on google
Share on twitter

中国では国家が系統的に移植のための臓器を収容者から本人の同意なく摘出しているとの問題が長らく、くすぶっている。この問題を専門家らが、公の場で検証するため、ロンドンでは「民衆法廷」が開かれている。

検事や医師が陪審員を務めるこのたびの民衆法廷は、中国での臓器移植濫用停止(ETAC)国際ネットワークの申し入れを受けて立ち上がった。昨年12月に開かれた第一回公聴会から、今年4月に行われた2回目まで、臓器移植外科医、ジャーナリスト、中国問題専門家、国際弁護士、中国の収容所で拘束されたことのあるウイグル人や法輪功学習者ら50人あまりが出廷した。

2019年4月6日、医療にまつわる闇を追及してきた日本の作家・高橋幸春氏が証言した。高橋氏は、2007年から中国渡航臓器移植ビジネスについて関心を抱き、問題について日本や中国の移植事情について追及している。麻野涼のペンネームで、臓器移植の闇を描く医療サスペンス「死の臓器」「死の臓器2 闇移植」、そして法輪功関係者からの臓器収奪をテーマにした「叫ぶ臓器」(2013,2016,2018 文芸社)を執筆し、「死の臓器」はテレビドラマ化された。

高橋氏は2018年、中国で2013年に臓器移植手術を受けた3人の患者から、聞き取り調査をしたと報告した。

それによると、日本の移植希望者たちはあっせん業者を通じて、中国に渡った。「非常に個人的なやり取りだけ」で中国に渡った例もあり、彼らは全員、中国側の医療問題やドナー問題について聞かされていない。

「患者たちはそれぞれ、中国への渡航移植のために、高額な手術費用を払って渡っている。そのお金の一部は、患者や家族に渡ると考えていた」と高橋氏は証言した。無実の人々から臓器が強制的に摘出されているという問題を、患者たちは認知していないため、罪悪感はなかったという。

中国共産党政府が2007年制定した臓器移植に関する法律「人体器官移植条例」によれば、中国国内へ臓器移植目的の外国人に渡航手術を施すことは禁じられている。条例は、臓器売買の禁止、本人許可のない臓器利用は違法、もし違反すれば刑罰にとわれると定めている。さらに臓器提供者(ドナー)は書面で臓器提供の意思を表示する必要があり、本人の同意なしに臓器の摘出は不可とされている。

さらに、中国の条例では、観光目的で入国した外国人に対して、衛生省の許可を得なければ臓器移植手術を施すことは許可されていない。

しかし、高橋氏が聞き取った日本の患者たちは、中国の移植病院で、中東出身と見られる患者を多く目にしている。このため「外国人に対する臓器移植手術が、違法ではないと、日本の患者たちは感じ取っていた」という。

海外渡航移植を実質禁止とし、自国内で臓器移植環境を整えることに務めると誓う国際宣言2008年制定のイスタンブール宣言に日本も加わっている。これ以降、海外で移植手術を受けた患者に対して、日本の病院では診療を受け付けないとしていた。

海外渡航移植の抑制に、法整備の甘い日本の臓器移植界

日本移植学会は、「中国への渡航移植を認めない」との立ち場だ。しかし、もし海外で移植手術後に帰国し、日本で診察を望む患者が現れた場合、日本の医療機関も人道的な立場上、診療するかしないかの選択を迫られる。

ひとたび臓器移植を受けた患者は、移植臓器の拒絶反応をコントロールするために生涯、免疫抑制剤を飲む必要がある。このため、中国で臓器の移植を受けて日本に帰国した患者も、免疫抑制剤を処方する医療機関を探し、通う。

大紀元の取材に応じた高橋氏は、2018年10月、日本移植学会の幹部との話を語った。この幹部は、移植学会の加盟医師は、もし海外移植手術済みの患者が診察を希望した場合「病院が警察に通報しても構わない」との了解を得たうえで、診察を行っているという。

日本の刑法では、臓器売買は5年以上の禁固または500万円以下の罰金が下る。しかし、高橋氏は、日本移植学会は、この日本国内法を渡航移植患者に適用するかどうかを考慮しておらず、対応は不十分だと指摘する。

「国内に存在するあっせん組織は日本で逮捕できず、日本の裁判にもかけられない」「もし、本当に日本から海外渡航移植を止めたいのであれば、国内のドナー数増加や法整備に努力するべきではないか」と高橋氏は語った。

現行の日本の臓器移植法の罰則には、臓器売買などに国外犯規定があるが、それは海外で移植を受けること自体を直接禁止するものではない。

イスタンブール宣言に署名しているにもかかわらず、日本の国会では、渡航移植を抑制するための法整備は見られない。むしろ、逆行する動きがある。厚生労働省加藤勝信大臣(当時)は2017年12月、海外の臓器移植に対して、条件を満たせば、健康保険から海外療養費として最大1000万円の支給を認める方針を明らかにした。

この報道を受けて、臓器移植あっせん業者は「朗報!渡航移植に保険支給!」「厚生労働省認可の海外療養費医療保険制度がある」などの宣伝文言で広げた。

厚生労働省の保険局保険課規格法令係長は大紀元の取材に対して、渡航移植について「保険支給を申請する場合、臓器売買に該当しない手術であることを証明しなければならない」と述べた。しかし、患者側が「違法でない」「臓器売買でない」という証明をするのは、日本と刑法や臓器移植法を共有しない国の場合は、困難を極める。

日本移植学会の江川理事長は2018年1月発表の声明で、渡航移植の保険償還について「海外への渡航移植を助長するものではない」と否定している。

問題が公になってから13年、今もなお続く臓器収奪

4月の民衆法廷では、臓器の強制収奪について、今もなお継続していることを示す証言が相次いだ。韓国メディアのテレビ朝鮮で、調査報道セブンとの企画番組で、中国臓器移植の闇を追及した同社記者・キム・ヒョンチョル氏が出廷した。

ヒョンチョル氏は2018年、中国でも著名な移植病院・天津第一中央病院で潜入取材意を敢行し、移植手術のために渡航した韓国人の患者らから話を聞いた。患者は、臓器の出どころがどこなのか、一切知らなかった。

また、勤務中の朝鮮族の看護師によると、外国人の移植希望患者は、「中国に到着してから健康検査を受ける」とし、手術までの待機時間は2週間から最長3カ月で、その間にドナーが見つかる。

同じ看護師の話では、中東出身の移植希望患者は天津第一病院にも数多く訪れる。例えば、平均して肝臓の移植手術は17万米ドルで、大使館が料金を支払うという。公館が臓器移植の仲介役を担っていることを示唆する。

4月6日から7日に掛けて行われた第二回公聴会について、議長を務めるジェフリー・ナイス(Geoffrey Nice)卿は、英国外務省は同法廷での証言を調査することを求めた。

中国の臓器移植ビジネスが、カナダの人権弁護士デービッド・マタス氏と元閣僚デービッド・キルガー氏による独立調査により公にされたのは2006年。13年間経過しても、「臓器の収奪が減少したという証拠はみつからない」とマタス弁護士は民衆法廷で述べている。

大量虐殺が背景にあると疑われる、中国の臓器移植の闇に焦点を当てる、このたびの民衆法廷。最終判決は、2019年6月17日に予定されている。

(文・佐渡道世)

(転載:https://www.epochtimes.jp/2019/04/42035.html)

Shopping Basket