中国での臓器収奪に関する2013年12月12日付け欧州議会決議(2013/2981(RSP))

中国での臓器収奪に関する2013年12月12日付け欧州議会決議(2013/2981(RSP))

 

欧州議会は、

- EU・中国関係に関する決議(2006年9月7日(1)および2013年3月14日(2))、世界の人権と民主主義についての年次報告2011年および同件についての欧州議会の方針に関する決議(2012年12月13日(3))、世界の人権についての年次報告2009年および同件についての欧州議会の方針に関する決議(2010年12月16日(4))、「臓器提供と移植に関する行動計画(2009~2015年):加盟国間の協力を強めて」と題する欧州委員会の報告書に関する決議(2010年5月19日(5))を勘案し、

- 2012年12月18日に採択された欧州連合基本権憲章、特に第三条の人間の完全性への権利を勘案し、

- 2009年11月21日、2012年12月6日、2013年12月2日に人権小委員会が開催した公聴会における、2000年以来、法輪功修煉者から不本意に大量の臓器が摘出されている事実についての元カナダ国務省アジア太平洋担当大臣デービッド・キルガー氏と人権擁護弁護士デービッド・マタス氏の各々の証言を勘案し、

- 1988年10月4日、「拷問および他の残虐・非人道的・品位を傷つける取扱または刑罰に関する条約」の中国による批准を勘案し、

- 手続き規定122項(5)および110(4) を勘案し、

次のA~Hであるがゆえに、

A. 中華人民共和国は、年間1万件以上の臓器移植を行っており、中国の165の臓器移植センターで適合する臓器が2~4週間以内に見つかると宣伝しているが、臓器を組織的もしくは効果的に提供または配給するための公的制度はない。中国の臓器移植制度は世界保健機関(WHO)の要請する臓器調達ルートの透明性と追跡可能性を遵守しておらず、中華人民共和国政府は制度への独立した査察に抵抗している。情報を得た上での自主的合意が倫理的臓器提供の前提条件である。

B.  中華人民共和国では、伝統的な信念から、自主的な臓器提供率は極めて低い。1984年、中華人民共和国は、処刑された囚人から臓器摘出することを許可する規定を施行した。

C.  マンフレッド・ノワク氏(拷問および他の残虐・非人道的・品位を傷つける取扱または刑罰に関する元国連特別報告官)、カナダの二人の調査者デービッド・マタス氏(人権弁護士)とデービッド・キルガー氏(元カナダ国務省アジア太平洋担当大臣)が情報を求めたところ、中華人民共和国政府は、過剰な臓器の供給源について納得のいく説明をしていない。

D.  中国臓器提供委員会の黄潔夫・主任委員(元中国衛生副部長)は2010年マドリード臓器提供・移植大会で、死亡したドナーから摘出された移植臓器の90%以上は中国で処刑された囚人のものであると発表し、2014年半ばまでには臓器移植手術が認可されている全ての病院は、処刑された囚人の臓器の利用を停止し、自主的に提供され、現在確立中の国家システムを通して割り当てられた臓器のみを使うことが要請されるという声明を出した。

E.  中華人民共和国は2015年までに、処刑された囚人からの臓器狩りを段階的に減少させ、コンピュータ化された臓器割当システムである中国臓器移植対応システム(COTRS: China Organ Transplant Response System)を導入することを発表した。これは、2014年半ばまでに臓器移植手術の認定病院全てで、処刑された囚人からの臓器利用を停止するよう要請する取り組みに矛盾するものである。

F.  1999年7月、中国共産党は精神修養法である法輪功を撲滅する目的で徹
底的な迫害運動を全国的に導入し、数十万人の法輪功修煉者が逮捕・拘束されることとなった。ウイグル、チベットの囚人も強制的な臓器移植の標的にされていると報告されている。

G.  国連拷問禁止委員会と国連特別報告官(拷問および他の残虐・非人道的・品位を傷つける取扱または刑罰担当)は、 囚人からの臓器狩り疑惑に懸念を表明し、臓器移植制度における責任所在と透明性を強化し、乱用の責任者を罰するよう、中華人民共和国政府に要求した。移植臓器販売の目的で宗教犯、政治犯を殺害することは、言語道断の行為であり、生命の基本的権利に対する堪え難い侵害である。

H.  2013年11月12日、国連総会は国連人権理事会の理事国に2014年1月
1日からの3年任期で中国を選出した。

次の1.~6.の決議を行う。

1. 中華人民共和国で、良心の囚人から、合意なく、系統的に国家容認のもとで臓器狩りが行われているという、継続的で信頼性のおける報告を深く懸念する。良心の囚人には、宗教的信念のために投獄されている多数の法輪功修煉者、その他の宗教、少数民族が含まれる。

2. 2015年までに、処刑された囚人からの臓器狩りを段階的に減少させるという主張は認めない。中華人民共和国政府が直ちに良心の囚人および宗教・少数民族のグループからの臓器狩りを即刻停止することを要求する。

3. 欧州連合およびその加盟国が中国の臓器狩り問題を提起することを要求する。欧州連合およびその加盟国は中国の臓器移植の乱用を公に譴責し、中華人民共和国に旅行する自国民にこの問題を認識させるよう勧告する。欧州連合による中華人民共和国での臓器移植に対する完全で透明性のある調査と、この非倫理的な活動に従事したことが発覚している者の起訴を要求する。

4. 臓器移植手術の件数の増加に伴う、死刑囚の数より多い臓器供給源の説明を中華人民共和国政府に求める国連特別報告官(拷問および他の残虐・非人道的・品位を傷つける取扱または刑罰担当)および国連特別報告官(宗教もしくは信仰の自由担当)の要請に中国当局が十分に対応することを要求する。

5. 法輪功修煉者を含む中国の良心の囚人全てを即時釈放することを要求する。

6. 欧州議会議長に本決議を下記に伝えることを指示する。
欧州理事会、欧州委員会、欧州委員会副委員長/欧州連合外務・安全保障政策上級代表、欧州連合人権特別代表、国連事務総長、国連人権理事会、中華人民共和国政府、全国人民代表大会。

脚注:
(1)OJ C 305 E, 14.12.2006, p. 219.
(2)採択文書, P7_TA(2013)0097.
(3)採択文書, P7_TA(2012)0503.
(4)OJ C 169 E, 15.6.2012, p. 81.
(5)OJ C 161 E, 31.5.2011, p. 65.

(原稿:www.stop-oh.org/download/_EU.pdf )

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