臓器あっせん従事者が暴く中国の臓器提供の裏 「金で貧乏人の命を買う」

臓器あっせん従事者が暴く中国の臓器提供の裏 「金で貧乏人の命を買う」

中国・上海市。イメージ写真(Pixabay)

法輪功学習者など良心の囚人を対象とする臓器の強制摘出・売買への国際社会の批判をかわすため、中国共産党当局は2010年3月、「臓器提供」のパイロットプログラムを開始した。このプログラムで「臓器提供コーディネーター(以下、臓器コーディネーター)」として勤務する遼寧省の梁辛さん(仮名)は大紀元のインタビューで、自らの体験をもとに、この「自主的臓器提供プログラム」の実態を明らかにした。

当局から「生死のフェリーマン」と宣伝された臓器コーディネーターは、患者の家族に臓器の提供を促すだけでなく、仕事の一環として医師の臓器摘出を手伝うこともあるという。

現地の臓器移植の状況について、梁さんは大紀元に対し、「臓器移植は常に可能であり、省外からも臓器を調達できる」「賄賂やコネを使えば、早ければすぐに移植が受けられ、遅くとも1週間以内には適切なドナーが見つかる」と述べた。

 「海外で臓器が見つからない外国人患者は、ここで見つけることができる。ここには全国のドナー情報があるからだ」

1.ドナーの死期は医師次第

梁さんは「私が以前に会ったような患者は、命を救える可能性が高かったが、家族が貧しかったために治療を断念せざるを得なかった。患者が早く衰弱するよう、医師は患者さんに1週間食事を与えない場合もある。似たようなケースはほかにもある」と証言した。

「私も手術室に入ったことがある。(臓器を)切り取った時に、ドナーの体がまだ跳ねたり、痙攣したりしていたことがある。厳密には脳死ではない可能性があるが、全員が脳死ドナーとして扱われている」と梁さんは語った。「死亡診断書を発行する際には、死因を『呼吸・循環不全(自然死)』と書いていた」とした。

2.服役中の男性受刑者の器官

昨年秋、刑務所から服役中の男性受刑者が病院に送られてきた。

同行した刑務官によると、四川省出身のこの囚人は、雲南省で麻薬の密売で捕まり、当初は雲南省の刑務所に収容されていたが、後に遼寧省に移送されたという。梁さんは「瀋陽の馬三家にある刑務所から運ばれた。本当の病因は殴打によるものだったようだ」と述べた。

梁さんの同僚が四川省にいる患者の家族に電話をかけ、瀋陽に呼び寄せた。患者の家族は貧困層だった。臓器の提供については、5、6日かけて家族と交渉し、最終的に5万元(約84万円)で合意した。

しかし、入院していた病院に臓器を摘出する設備がなかったため、大きい病院に移された。転院後、ドナーの家族は急に気が変わり、臓器を提供しないと言い出した。そこで、家族を納得させるために5万元を追加した。

その間、医師はドナーを生かすために薬を使っていた。「ICU(集中治療室)の医師の言葉を借りれば、薬を飲めば生きられる。必要に応じて生かし、必要に応じて死なせる。これらはすべて、医学的に操作可能である」と梁さんは述べた。

「このドナーは、肝臓1つと腎臓2つを摘出された。ドナーが見つかったら、それを最大限に活用する。クロスマッチ(適性検査)用のデータベースがあるので、移植を待っている患者さんをすぐに見つけることができる」

3.法輪功学習者からの臓器狩り

中国共産党による法輪功学習者からの臓器狩りについて、梁さんは「病院から提出される政務調査報告書や書類の中に法輪功のことが書かれている」と述べた。自分が担当したケースに法輪功学習者はいないが、法輪功学習者からの臓器狩りは存在すると信じているという。

梁さんは、自分が所属する瀋陽の医科大学病院の移植センターの所長が、法輪功学習者の臓器狩りに関与していた可能性があると話した。「彼(所長)は、2003年に瀋陽市の蘇家屯血栓病院(遼寧省血栓病中西医結合医療センター)から医科大学病院に大学院生として入所した。奇妙なことに、彼の専門は臓器移植だが、蘇家屯血栓病院にはその専門がない」と指摘した。

4.臓器移植の暴利と利益配分ネットワーク

梁さんは、肝臓や腎臓の移植を行う部署に所属している。概算によると、肝臓移植1件で55万元(約930万円)、腎臓移植1件で45万元(約760万円)、ドナーの肝臓と腎臓2個の移植では合計145万元(約2450万円)の収入になるという。

梁さんは大紀元に対し、臓器移植の利益配分ネットワークについて説明した。「医師は移植のために報酬を受け取っているが、正確な金額はわからない。臓器コーディネーターは、ドナーを見つけるたびに2千〜3千元(約3万〜5万円)を支払われている。利益のほとんどは、移植センター所長のポケットに入る」と述べた。

梁さんによると、所長はお金を独り占めできず、周囲のさまざまな人脈に気を配る必要がある。例えば、病院の経営陣や、役立つ情報を提供してくれる公安局(警察署)などの関連部署にも利益の一部を配分しなければならない。

所長は常に公安局を通じて、ドナーの家族構成、家庭状況、職業などの情報を確認し、関連情報を臓器コーディネーターに伝えているという。

5.私的臓器摘出・売買で医師4人に判決

臓器産業の収益性の高さから、闇で臓器摘出・売買を行う医師もいる。この現象は、梁さんの明かした状況が中国全土の病院で広く行われていることを裏付けている。

中国メディア「西南商報」が4月17日、複数の医師が違法な臓器摘出を行ったとして有罪判決を受けたことを報じた。

それによると、安徽省懐遠県の53歳の女性は、2018年2月11日、精神疾患のある継子に斧で頭と首を切られ、同県人民病院のICUに運ばれた。入院当日、ICUの主治医は、患者の夫と娘を説得し、20万元(約340万円)の価格で患者の肝臓と腎臓2つを「提供」することに同意させた。4日後の2月15日、救急車に改造した自家用車でドナーの臓器を摘出し、北京の移植病院に搬送した。

当局のデータベース「人体臓器提供管理センター」にドナーの情報は登録されておらず、許可なく臓器摘出と移植が行われた。この事件は、契約に関与していないドナーの家族からの通報によって発覚した。

調査によると、同県では同様の臓器摘出事件が11件発生している。昨年11月には、医師4人を含む6人の容疑者が、「故意に死体を破壊した」罪で、中国当局からそれぞれ2年4~10カ月の懲役刑を言い渡された。

6.「一人でも多くの人を目覚めさせたい」

梁さんは、いわゆる「臓器提供プログラム」や、臓器移植の裏にある怪しげな金儲けの仕組みを知った後、「ドナーの家族を見るたびに、胸が張り裂けそうになる。はっきり言えば、このような行為は、金持ちが貧乏人の命を買っていることに等しい」と訴えた。

また、このような内幕を明かすのは危険だと思いながらも、「この事実をより多くの人に知ってもらいたい。自分を犠牲にしてでも、一人でも多くの人を目覚めさせたい」と梁さんは語った。

(翻訳編集・王君宜)
(転載:https://www.epochtimes.jp/p/2021/05/72439.html)

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