「臓器提供プログラムが強要や金銭誘惑を伴った売買」中国臓器あっせん従事者が実態暴露

「臓器提供プログラムが強要や金銭誘惑を伴った売買」中国臓器あっせん従事者が実態暴露

中国の臓器狩りを描くドキュメンタリー映画「ダビデとゴリアテの戦い(Davids and Goliath)」のスクリーンショット。2014年11月9日にカナダで開催されたハミルトン映画祭で最優秀賞を受賞、その他数々の賞に輝いた(Epoch Times)

法輪功学習者など良心の囚人を対象とする臓器の強制摘出・売買への国際社会の批判をかわすため、中国共産党当局は2010年3月、「自主的臓器提供」のパイロットプログラムを開始した。本当の供給源を隠すためとの指摘もある。このプログラムで「臓器提供コーディネーター(以下、臓器コーディネーター)」として勤務する遼寧省の梁辛さん(仮名)は、大紀元のインタビューに対し、「いわゆる『自由意志による臓器提供』の実態は強要や金銭誘惑を伴った臓器売買である」とあっせんの内実を明かした。

臓器コーディネーターは、中国赤十字社や専門的な医療機関に所属しているが、正規職員ではなく、「ボランティア」という位置付けである。主な業務は、臓器移植のための「ボランタリー・ドナー(自由意志による臓器提供者)」を探すことである。

医師に賄賂、ドナー候補者情報を獲得

臓器コーディネーターの仕事はドナー候補者の確保から始まる。病院で脳死と判定された患者がいる場合、連絡を受けたあと、血液、臓器の状態など各種のデータに基づいて、移植可能かどうかを評価する。移植可能なら、患者の家族との交渉を開始する。

梁さんは「臓器移植を行う医療機関は、多くの病院の脳神経外科、神経内科、ICU、救急部と直接つながっている」と語った。

「このような病院の医師全員は、私たちの連絡先を知っている。例えば、救急医は外傷性脳損傷の患者を診察する際、まず患者の状態を大まかに判断する。ご家族が治療費を支払う余裕がなく、脳死状態になると判断した場合は、すぐに連絡が来る。その後、臓器コーディネーターは患者の家族と交渉し、交渉が成立すれば、医師に報酬を支払う」

活動範囲については、「私は遼寧省(中国北部)に住んでいるので、主に東北部の遼寧省・吉林省・黒竜江省、そして北京、鄭州、天津辺りでドナーを探している。臓器は短期間で移植に使用されるため、遠く離れた南方には行かない」と梁さんは述べた。

ドナーのほとんどは貧しい家庭の出身者

国営メディアが称えている「生死のフェリーマン」という職業について、梁さんは「実は非常に残酷な仕事だ」と語った。「臓器提供を通じて愛を分かち合いたいとか言っているが、それは表向きのプロパガンダで、実際にはお金の話をしなければならない」と指摘した。

医学部出身ではない、当時失業中だった梁さんが見つけたのは、臓器のコーディネーターという非正規雇用の仕事だった。同僚のほとんども医学の知識がない。歩合制のため、多くのドナーを見つければ、稼ぎも多くなるという。

梁さんによると、ドナー候補者のほとんどは、治療費を支払う経済的余裕のない、貧しい家庭の人々だった。ごく少数の人が自発的に提供を申し出ても、70歳や80歳で自然死したときには、臓器の機能が低下し、利用できない場合が多いという。

梁さんが扱ったドナーの多くは、突然の脳卒中や心筋梗塞、脳出血などに見舞われた50代の人々だった。速やかに治療すれば、命は救える。しかし、中国では利潤追求型の医療制度のため、医療費は入院だけで1日1万〜2万元(約16.7万〜33万円)と一般家庭にとって高額である。

梁さんは「臓器コーディネーターは、医師からの情報をもとに、ドナー候補者の家族に連絡している」と話す。医療費を肩代わりするという条件で治療をやめ、臓器の提供を求めている。

「この取引は、家庭環境の悪い人や貧困層、特に農民工(農村から都市への出稼ぎ労働者)の間で成功する可能性が高い。貧しい家庭では、治療費のために借金している」

中国赤十字社の提示価格は通常、8万~10万元程度。交渉が成立すれば、国家補助金の名目で家族に渡される。

「(中国)赤十字社は、この方法で自発的に臓器が提供されると主張しているが、実際には臓器が強要や金銭誘惑によって入手されている」

交渉術:成功率を高めるために、金欲の強い家族を相手に

中国では、「死者を敬う」「遺体の完全性を大切にする」といった伝統的な価値観が深く根付いているため、臓器あっせんのような「仕事」は困難を極めている。

「臓器コーディネーターは、必要な臓器を手に入れるために、ドナー候補者の家族の中で欲張りな人やお金に困っている人と交渉してこそ、高い成功率が得られる」と梁さんは述べた。

「臓器コーディネーターは、交渉相手の家族に『どうせ人はもうすぐ死ぬんだから、亡くなってしまえば、このお金はもらえないよ』と促す。その人がうなずけば、他の家族を全力で説得してくれる」

このようなケースに数多く遭遇してきた梁さんは、半年前に発生した事例を大紀元に語った。ドナー候補者となった男性は28歳で、病状はくも膜下出血で、血管腫だった。病気は早期発見できず、手遅れになってしまった。

「この患者は入院してすぐに集中治療室(ICU)に移され、ICUでは定量的脳波トレンドグラフが作成された。家族はまだ患者の状態を把握していなかったが、私たちはすでに脳死判定書を手配した。このドナー候補者は若かったため、臓器の質が非常に高いと判断された」と梁さんは語った。

ICUから知らせを受けた梁さんの同僚は、患者の家族に連絡を取り始めた。患者は未婚だった。両親は息子の臓器を提供することに同意しなかった。

「しかし、その患者には姉がいて、同僚はその姉がお金を欲しがっていることを知った。また、姉は弟の医療費の支払いで借金を抱えていた。同僚が姉に打診したところ、すぐに承諾してくれた。その後、彼女は臓器を提供するように両親を説得した。表向きは慈善事業のためだが、本当はお金のためだった」

「最初の交渉から臓器の摘出まで、約4~5日かかった。その4~5日の間に、ドナーの母親が相当苦しめられていた様子だった」

当初、家族との契約では、肝臓1個と腎臓2個の摘出となっていたが、心臓が必要な心臓移植があったため、心臓の摘出が追加された。それを知ったドナーの母親が「肝臓は1つ、腎臓は2つと言っていたではないか。私はそれしか同意していなかった」と抗議したが、心臓の提供を止めることができなかった。

梁さんはインタビューの最後に、「この業界を知れば知るほど、良心の呵責に耐えられなくなった。このようなことをもっと多くの人に知ってもらいたいし、私の経験がより多くの人を目覚めさせてくれることを願っている」と語った。

(翻訳編集・王君宜)
(転載:https://www.epochtimes.jp/p/2021/04/71921.html)

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