国際NGO(非政府組織)「法輪功迫害追跡調査国際組織(WOIPFG)」(以下、追査国際)は8日、中国当局による法輪功学習者への強制臓器収奪をめぐり、中国軍の関与を裏づける証拠として、5年前に中国軍の大病院で勤務する外科医との電話音声を公開した。
1999年以降、中国軍病院は臓器移植分野で飛躍的な発展を遂げた。国営メディア「新華網」によると、2008年12月、人民解放軍総後勤部衛生部トップの張雁霊少将は「1978年、腎臓移植手術ができる軍病院は3カ所しかなかった。今は全軍において、肝臓、腎臓、心臓、肺の移植手術、または多臓器移植手術が可能な軍病院は40カ所にのぼる。全国(軍病院)総数の4分の1を占める」と発言した。
しかし、WOIPFGは8日に出した声明で、「実際、中国にある150以上の軍病院の大半が臓器移植手術を行っている」と指摘した。同団体は、中国当局が主導する法輪功学習者への強制臓器摘出に、中国軍が積極的に関与しているとの見方を示している。
WOIPFGは2015年6月29日、軍の三甲病院(最高等級の病院)で勤務する外科専門家に電話で話を聞くことができた。この軍医を保護するために、電話音声を5年以上非公開にした。同軍医は、人民解放軍総医院第八医学センター(前身は人民解放軍第三〇九医院)全軍臓器移植研究所の石炳毅所長について言及した。
公開情報によると、人民解放軍総医院第八医学センターは、2002年4月に臓器移植センター(現在の全軍臓器移植研究所)を設立した。石氏は同センターの主任に就任した。この時点で、同病院では2130件の腎臓移植と600件の肝移植手術が行われた。2006年8月6日の中国臓器移植網の情報では、石氏は1200件以上の腎臓移植と111件の肝移植手術を執刀した。2015年、人民解放軍総医院第八医学センターは、石氏が行った肝移植手術は1580件余りにのぼると公表した。
石氏は、軍医療機関でのポストのほかに、中国衛生当局である国家衛生健康委員会の腎臓移植質量管理センター主任、中国医師協会臓器移植医師分会の副会長などを兼任している。
WOIPFGは、石氏が法輪功学習者に対する臓器狩りに加担しているとして、追跡調査を行っている。
前述の軍医はWOIPFGの潜入調査員に対し、石炳毅氏について、「この周りの地方裁判所の幹部と懇意している。よく地裁の人たちを接待している。関係が良くなれば、死刑囚の臓器をもらえる」「石氏はすごい。彼は地裁に太いパイプがあるから、(死刑囚の)肝臓、腎臓、心臓と肺を手に入れられた。ここ2年間は(入手できる臓器が)少なくなったけれど、数年前は多かった」と話した。
軍医はまた、石氏が違法に臓器を取得していると批判した。
「(地裁との結託の)実態が明るみに出れば、石氏はきっと刑務所行きだ」
「政府は臓器の入手先をちゃんと調べないといけない。石氏は1500件以上の移植手術を行った。政府はこの1500件以上の臓器をどこから入手したのか調査する必要があるし、メディアも報道する必要がある」
軍医は、石炳毅氏は黄潔夫・前衛生省次官と近い関係にあるとした。「黄潔夫氏と石氏は同じ穴の狢だ。彼たちは手を結んでいて、強い利益関係を持っている」
黄氏は現在、中国臓器提供および移植委員会の主任委員を務めている。同氏は2006年、中国の臓器移植に死刑囚の臓器を使っていると公言した。WOIPFGは、黄氏が法輪功学習者に対する強制臓器収奪の中国当局の主要責任者の1人であるとみて、調査対象リストに入れた。
中国紙「南方週末」は過去、「2000年は中国臓器移植界の分水嶺である。2000年に全国の肝移植件数は、1999年と比べて10倍増えた。2005年はさらに(2000年と比べて)3倍増えた」と報道した。
1999年7月、中国の江沢民政権は伝統気功グループ、法輪功の学習者に対して弾圧政策を始めた。
国際医師団体「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」のトルステン・トレイ医師の統計では、1999~2004年までの5年間、中国での臓器移植件数は300%急増した。その一方で、同期間、全世界の臓器移植件数の伸び率は10~15%にとどまっていた。
(翻訳編集・張哲)
(転載:https://www.epochtimes.jp/p/2021/03/69703.html)